
今週のお知らせは、京都高尾病院の理事長・江部康二先生のブログ「糖尿病徒然日記」からの転載です。
「脂肪を摂りすぎると太る」というのが実は間違っていて「糖質を食べ過ぎると太る」が正しいことが分かってきました。従来の栄養学は経験をもとに教えられてきて、たまに大きな間違いを犯すことがあります。その点、分子栄養学は分子生物学に則っているので正確です。
「脂肪肥満説」は間違っており「糖質肥満説」が正しいのです。それでは、糖質をたくさん食べていた昔の人がなぜ太っていなかったのか?それは生活習慣の違いにあります。その頃はどこかに行くときは徒歩又は自転車です。重い荷物を運ぶときは背中に背負い、リヤカーに頼ることもありました。今はどこへ行くのも車です。エネルギー源の糖質は使いきれません。使いきれずに余った糖質はインシュリンホルモンの働きにとって脂肪に変えられ肥満になってしまうのです。
以下引用始め
2026年07月22日 (水)
こんばんは。
米国糖尿病学会(ADA)ガイドライン2020年版に、「低炭水化物の食事パターン、特に超低炭水化物(VLC)の食事パターンは、A1Cと抗高血糖薬の必要性を減らすことが示されています。これらの食事パターンは、2型糖尿病で最も研究されている食事パターンの1つです。」と明記されています。
そして、「低炭水化物食」も「超低炭水化物食」も「高脂肪食」となります。2021年、2022年、2023捻、2024年、2025年、2026年のガイドラインでも同様の見解です。
例えば、高雄病院のスーパー糖質制限食は<タンパク質:32%、脂質:56%、糖質12%>と高脂肪食で、糖尿病や様々な生活習慣病に画期的な治療効果をあげています。それでは、以前の「脂肪悪玉説」は、どのように形成されていったのでしょう。
<脂肪悪玉説の始まり>
1950年代にアメリカミネソタ大学のアンセル・キーズ博士が『バター、チーズ、赤身肉に多く含まれる飽和脂肪酸は、血液中のコレステロール値を上昇させ、その結果、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患の原因になる』という説を主張しました。これが脂肪悪玉説の始まりと言われています。
<米国栄養ガイドラインの失敗>
アンセル・キーズ博士の仮説に従って、米国では、炭水化物摂取比率を増やし、脂肪摂取比率を減らす栄養指導が行われました。
1977年、米国栄養ガイドライン。脂質減らし、炭水化物を増やせ。脂質摂取率は30年間減り続けた。 1971年36.9%⇒2000年32.8%。炭水化物摂取率は30年間増え続けた。 1971年42.4%⇒2000年49.0%。目標達成したのに、肥満は30年で倍増。目標達成したのに、糖尿病はわずか10年で2.5倍増。
脂質摂取比率が減って、炭水化物(糖質+食物線維)摂取比率が増えて、目標達成したはずなのに肥満倍増、糖尿病激増で、結果は大失敗です。こうなると真犯人は糖質の頻回・過剰摂取、の可能性が大なのです。
<米国糖尿病学会(ADA)と食事療法の変遷、糖質制限食は?>
①ADAは、2007年まで糖尿病の食事療法において糖質制限食は推奨しないとしていた。
②2008年、「食事療法に関する声明2008」において、
「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食、もしくは低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と、
1年の期限付きで、糖質制限食の有効性を認める見解を記載。
③2011年、肥満を伴う糖尿病患者に2年間の期限付きで糖質制限食の有効性を容認。
④2013年10月、「食事療法に関する声明2013」において期限や限定なしで、糖質制限食を容認
⑤2019年4月、コンセンサス・レポートで糖質制限食が、エビデンスも最も豊富と記載。
⑥2020年4月、「栄養療法」
地中海式、低炭水化物、およびベジタリアン食事パターンは、
いずれも研究で良好な結果が示されている
健康的な食事パターンの例である。
個別の食事計画は、個人の好み、ニーズ、
および目標に焦点を当てるべきである。
糖尿病患者の全体的な炭水化物摂取量を減らすことは、
血糖値を改善するために最も多くのエビデンスが示されているので、
個人のニーズや好みに応じた様々な食事パターンに
適用することができる。
<「TIME」紙と脂肪悪玉説>
1984年のアメリカ「TIME」紙の表紙は、目玉焼きとベーコンの絵です。食べる脂質を減らそうというメッセージでした。
しかし30年後同紙において「バターを食べましょう。なぜ科学者たちは脂質を悪玉と誤認したのか」という内容を特集しています。このように、米国のマスコミにおいても、脂肪悪玉説は払拭されたようです。
現在は、1980年代からアメリカの国策であった脂質の摂取量削減が方針転換され、脂質をもっと摂取したほうが良い(その代わり糖質の摂取量を減らす)という流れに変わってきています。
江部康二
以上引用終わり