今週のお知らせは、藤川徳美先生の著作「すべての不調は自分で治せる」についてお知らせします。
藤川先生は広島大学医学部を卒業され、廿日市市で心療内科を開業されています。その間、体調不良を糖質制限食で改善され、栄養の大切さを実感され栄養学を勉強されました。欧米のオーソモレキュラー栄養学と三石巌先生の分子栄養学を学ばれ発展させ診療に生かされています。
現代の食事は、バランスが取れていて量も十分足りている。これは常識です。しかし、この常識は間違っていて、分子栄養学では質的栄養失調です。質的栄養失調とは、「糖質過多+タンパク不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足」これがあらゆる病気の原因です。
「医師が病気を治すのではない、患者さんが勉強して、自分で栄養を摂り、治すのだ」
あらゆる慢性疾患(うつ、パニック、リウマチ、アトピー性皮膚炎、神経難病、花粉症など)は分子栄養学で治せます。医師に頼らずとも自分で治せます。
日本の医療は栄養を軽視して、医師が栄養のことを知りません。私も卒業後に勉強して初めて判りました。本当に必要なものは、高タンパク低糖質(糖質制限)、メガビタミン、スカベンジャー(抗酸化物質)、鉄、ミネラルなのです。
これからは、健康自主管理、自分の健康を医師任せにしないようにしましょう。
タンパク質こそは、人間にとって必要な第一の栄養素です。
人間の体は水分を除いた70%がタンパク質から成り立っています。そして合成と分解を繰り返しています。ですから、タンパク質を供給し続けることが、生命活動の維持、すなわち健康な状態を保てることになるのです。
ところが、一般的なバランスの良い食事には、必要量のタンパク質が含まれておらず、不要な糖質が大部分を占めています。これが「質的」栄養失調をもたらし、慢性疾患の原因になっています。タンパク質が足りなくて病気になっているのですから、タンパク質が満たされていけば病気は治ります。つまりタンパク質が慢性疾患を自分で勝手に治してくれるということになります。そのことを自然治癒力と言うのです。
バランスが良い食事(日本人の標準食事)とは―野菜中心で油分や塩分、添加物を控える。そしてエネルギー構成比は、概ねタンパク質:13~20%、脂質:20~30%、炭水化物:50~65%が目安、タンパク質は動物性と植物性の両方から摂ると言うものです。
しかし、この常識は間違っています。
人が生きていくエネルギーを得るために最も大切な生命活動が「代謝」です。悪い栄養状態が続くと、遺伝子の弱い部分から作られた代謝酵素において、「代謝異常」が生じます。この代謝異常が積み重なって、やがては統合失調症、糖尿病、膠原病、アトピー性皮膚炎、神経難病、がん、その他の疾患を発症してしまうのです。
体調不良や慢性疾患に悩む中高年のほとんどが、30年来のタンパク不足、50年来のたんぱく不足なのです。
病院では病気を治してくれません。薬による対症療法で根本的な治療ではありません。場合により薬の副作用などもあります。一般的な病院の医師はビタミンや栄養のことを知りません。なぜなら、医学部の授業にはほとんど栄養学の授業はありませんから。
分子栄養学に基づいてプロテインやビタミン、ミネラルのサプリメントを摂ります。プロテインやビタミンなどのサプリメントは、体にも必要な栄養素を抽出したものであり、代謝のために利用するもの、なくてはならないものです。現在の作物が育つ土壌は昔と比べてやせており、十分なビタミン、ミネラルが含まれていません。
DNAにはタンパク質のつくり方が書いてある
分子栄養学によりますと、生体はDNAによって制御されています。したがって、健康を損ねている人の体では、DNAの指令が完全に遂行されていない、ということになります。
合成されたタンパク質は、細胞内でその働きを終えると、速やかに分解されます。必要なタンパク質を合成し、また分解、合成、つまりこのたんぱく質の代謝が保たれていることが「生きている」という事なのです。
タンパク質が不足した状態で代謝をしなくてはならない際は、使い古したアミノ酸が再利用されることになります。古いアミノ酸は変形しており、古いアミノ酸を使ったタンパク質は、免疫作用から「非自己」と判断された場合、リウマチなど自己免疫疾患の原因となります。
健康を維持、病気の予防のためにはご自分の体重×1gのタンパク質摂取が必要になります。これが1日最低限の量です。できれば余裕をもって1.5~2gは確保していただきたいものです。
成長期の中高生、妊娠・授乳期の女性の場合は、確実に体重×1.5gは必要です。慢性疾患からの回復を目指すためには、体重×2gの量が必要です。
ほとんどの人は食事から十分量のたんぱく質を摂取できていないため、プロテインは男女ともにタンパク質換算で1日20g×2回が必要です。胃がむかむかしたり、下痢になる人は1日5g×3回からでもいいです。通常は2~3ヶ月すると、徐々にタンパク質の消化吸収能力が向上して飲めるようになります。
高タンパク低糖質食(糖質制限食)に加えてプロテイン1日20g×2回が飲めるようになるといろいろな効果が出てきます。プロテイン摂取と糖質制限は同時に行います。
◎薬の効きが圧倒的に良くなります
代謝酵素のたんぱく質が十分量あれば、代謝が良くなり、少量の薬で効果が出ます。
◎鉄剤が飲めるようになります
貧血でタンパク不足の女性の中には、鉄剤を飲むとむかむかして継続できない方も多くいます。それが飲めるようになります。
◎メガビタミン(ビタミン療法)が開始でき、その効果も出やすくなります
代謝に必要な酵素は「主酵素(たんぱく質)+補酵素・補因子(ビタミン、ミネラル)から得られます。
これらの結果、元気になった、疲れにくくなった、ストレスに負けなくなったなど、効果を実感できます。うつ病で休職となった男性サラリーマンにおけるプロテインの効果は100%です。全員仕事に復職しています。
爪、髪、皮膚、粘膜などは効果が早く、「爪がしっかりしてきた」「肌の調子がいい」など、その変化を早い段階で実感できるでしょう。すると、顔色が良くなり、動きも溌溂としてくるので、周囲の人から「最近すごく元気そうだね」と、言われるようになるでしょう。
プロテインはソイプロテインより効果の高いホエイプロテインがいいです。ホエイプロテインには大きく分けてWPCとWPIという種類があり、WPCには乳糖が含まれています。WPIは乳頭が完全に除去されています。乳糖不耐性の人はWPIがいいです。
どのような慢性疾患であっても、発病後1年以内ならほとんどは3ヶ月程度で改善します。しかし、発病後10~20年も経っていると、そう簡単にはいきません。改善にはかなり時間がかかります。長い病歴の方のタンパク不足を短期間で改善する方法はないのです。
また、栄養療法の効果は、年齢にも左右されます。子供は効果が出るのが早い。一方、高齢者は回復に時間がかかるケースが多い。代謝回転のスピードが加齢に伴って落ちてくるからです。
例えば、新しい皮膚に生まれ変わるターンオーバー(新陳代謝)の期間は20歳で28日、50歳で100日、70歳で200日です。3回のターンオーバーの期間があれば病気の症状が改善すると仮定するなら、20歳なら3ヶ月、50歳なら1年、70歳なら2年かかる計算になります。焦らずに継続してください。
腎臓が悪い人は、尿毒症の原因となる窒素代謝産物の産生を抑制するなどの理由でタンパク質制限をします。藤川先生はこれに異議を唱えておられます。腎臓と言う臓器そのものがタンパク質であること。タンパク質制限を続けている腎臓病の人で、倦怠感、むくみ、脱毛などがみられる場合は、どれも低タンパク食に原因があると思います。タンパク質よりも糖質過剰のほうが腎臓に負担をかけています。腎臓は毛細血管の集まりですので、血管壁のコラーゲンを強くするために、タンパク質とビタミンCは必須です。血流をよくするために、ビタミンEとナイアシンも必要です。
プロテインの服用で期待できる効果
補足(稲田による)
糖質制限食は京都高雄病院の江部康二先生が先頭に立って広められた糖尿病の治療食です。糖尿病の薬が開発されるまでは、厳重食と言って現在で言う糖質制限食でした。明治の文豪・夏目漱石は糖尿病になり、厳重食がまずいとこぼしています。現在の糖質制限食は大変美味しくなっています。糖質をたくさん摂ることにより血糖値が上昇し高止まりになれば糖尿病になります。怖いのは合併症で、血管が弱くなり、目に来ると失明の恐れがあり、足に来ると腐って足切断の恐れがあり、腎臓に来ると人工透析になる恐れがあります。
この糖質制限食は薬中心の治療に取って代わられ忘れ去られていたものが、最近になって薬に頼らない栄養療法として復活したわけです。日本糖尿病学会が推奨するカロリー制限栄養療法よりも糖質制限食の方が理にかなっていると思います。
私も10年前に糖質制限食に出会い、糖尿病ではなかったのですが、肥満解消のために実践して7~8kg体重を落として若い時の体重に戻りました。あの時のままの食事を続けていたら今ごろ糖尿病になっていたかもしれません。白米たっぷりのご飯を食べて、夕方の5時ごろになると強い空腹感に襲われたり指先が震えたりと低血糖状態になっていました。すぐにチョコレートを食べて押さえていました。高血糖と低血糖を繰り返していたわけであのままの状態が続くと糖尿病になっていたのではないかと、今思うとぞっとします。