今週のお知らせは、京都高雄病院の江部康二先生のブログ「糖尿病徒然日記」からです。
江部先生のことを知ったのはもう10年以上前になります。そのころ太り始めて江部先生の「糖質制限」(高タンパク低糖質食)に出会い、8kg減量することが出来、昔のズボンがまたはけるようになりました。もし江部先生のことを知らなかったら今ごろ糖尿病になっていたと思います。お陰でずっと健康で歯医者を続けられています。
3大栄養素は、糖質、タンパク質、脂質です。糖質はほとんどがエネルギー源です。タンパク質は筋肉、内臓、骨、髪、爪などの重要な構成要素です。エネルギー源にもなります。脂質は脳みそ、細胞膜などの人体の重要な構成要素です。エネルギー源にもなります。
糖質は活動量が減少すると余ってインシュリンと言うホルモンによって脂肪に替えられて太ってしまいます。タンパク質は余るほど食べている人はほとんどいなくて、足りない人の方が圧倒的に多いです。脂質は余った分は便となって排出されます。
結局、太るのは糖質と言うことになります。
「糖質制限」(高タンパク低糖質食)は、糖質が多い主食(ごはん、パン、めん類、イモ類など)を減らして、タンパク質中心のおかずを増やす、食事の総量を減らさないようにする食事法です。
以下引用始め
2022年11月28日 (月)
こんばんは。
糖質制限食は、必然的に高脂質・高タンパク食となりますが、血管壁に与える影響は大丈夫なのでしょうか?動脈硬化にはならないのでしょうか?
現実に、日本の医学界では、いまだに高脂質食が動脈硬化の元凶とする意見が大勢を占めています。今回の記事は、イヌイットの食生活の歴史から糖質制限食と血管・動脈硬化について考察してみます。
4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしも言えませんが、セイウチ猟など狩猟や漁労を主な生業としていたようです。
現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀ごろ、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代が始まりました。その後200~300年間で、他の極北周囲地域、西はシベリア北東端のチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、「チューレ文化」と呼ばれています。
その後、12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。そのためクジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。
イヌイットと言えば誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、
15世紀ごろに形成された生活様式です。ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。このころは、穀物など一切なしの究極の「スーパー糖質制限食」です。そして1900年代初頭までは、この伝統的食生活、つまりスーパー糖質制限食が保たれていました。
ダイアベルグ博士らの試算では、伝統的食生活の頃(1855年)のイヌイットは3202kcal/日摂取で比率は ・蛋白質:377g(47.1%)・炭水化物:59g(7.4%)・脂質:162g(45.5%) と、炭水化物摂取比率がわずか7.4%で、まさにスーパー糖質制限食でした。この頃は、心筋梗塞も脳梗塞もがんも糖尿病もほぼ皆無です。
約120年後の、1976年のダイアベルグ博士らの調査では、各栄養素の摂取比率(イヌイット/ デンマーク人)は、
・蛋白質: イヌイット23% /デンマーク人 11%
・脂質: イヌイット39% /デンマーク人 42%
・炭水化物: イヌイット38% /デンマーク人 47%
で、小麦があるていどイヌイット社会に浸透した結果、炭水化物摂取比率38%と緩やかな糖質制限食に変化しています。それでも心筋梗塞や脳梗塞が極めて少なかったことが報告されています。
すなわち、動脈硬化が少なかったということです。
同時期、同じくらいの高脂肪食を食べていたデンマーク人においては、心筋梗塞や脳梗塞が多発していたので、その差が注目されました。脂質の摂取比率は、両者同じくらいですが、デンマーク人は、高糖質・低タンパク食であり、そこが、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞発症に繋がったと考えられます。
このようにイヌイットの食生活でも明らかなように、糖質制限食により、動脈硬化が予防できる可能性が高いのです。
今まで西洋医学でEBMとして、動脈硬化のリスク要因といわれていた因子が、全て糖質制限食で改善します。
HDL-C、LDL-C、TG(中性脂肪)、血糖値、HbA1c・・・
従いまして、高脂質・高タンパク・低糖質食で血管が脆くなるどころか丈夫になると考えられます。このように、西洋医学のEBMが正しいならば、糖質制限食実践による血管壁への影響は、好ましいもの以外は考えられません。
なお米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポートで「糖質制限食は、2型糖尿病で最も研究されてきたパターンである。」と明言し、食事療法として一推しで推奨しています。2020年、2021年、2022年のガイドラインでも同様の見解です。
江部康二
以上引用終わり