
『「鉄の力」で吹き飛ばす「病い・絶不調」改善マニュアル』と言う本を読みました。。情報量が大変多いので読みにくかったですが、大変勉強になりました。
人は精密な電気化学工場の塊です。無数の工程(代謝)を経て筋肉、骨、臓器を作り、ATPと言うエネルギーを産み出し、人は健康な生活を送ります。その中で、鉄は多くの代謝の過程に関与しており絶対に欠かすことが出来ないミネラルのひとつです。以下に要約を載せますので、ぜひご覧ください。良ければ実際の本で読むと面白いです。
以下要約はじめ
『「鉄の力」で吹き飛ばす「病い・絶不調」改善マニュアル』
野中鉄也 一般社団法人 鉄ミネラル代表講師(京都大学修士課程卒業 元は機械理工学の学者)
・松果体にも鉄が必要。(睡眠ホルモンであるメラトニンを分泌する脳器官)
・鉄緑茶(緑茶に鉄を入れると鉄が溶けだしてタンニン鉄が出来る) 農業用 鉄緑茶をまくと美味しい野菜が出来る。
・蜂蜜の中に鉄がある。
・キャラブキ 鉄とタンニンの組み合わせを作るのは、実は灰汁抜きの効果があった。
・伝統的な乾燥ひじきの鉄は、ヒジキそのものではなくて、鉄の調理器具から来ている。
・鉄瓶でお湯を作る抹茶の席では、ほんのちょっと鉄が溶けたお湯で抹茶を立てることになるので、それが抹茶のとんがった苦みや渋みを和らげてくれる。茶道では必ず鉄瓶や茶釜で沸かしたお湯を使う。
・常滑焼では、陶土の中の鉄がタンニンと反応してお茶がまろやかになる。
・今の日本人の鉄不足の大きな原因の一つに、鉄の調理器具を使わなくなったと言うことがある。
・禅寺で茶粥を作っているが、鉄なべで茶粥を炊いているので、茶粥が真っ黒。
・鉄火みそ タンニンを多く含むゴボウとレンコン、それにニンジンとショウガ最後にお味噌を入れて、鉄分とタンパク質が摂れる食材を作る。
・タンパク質不足で胃腸が弱っている場合は、タンパク質ではなく、アミノ酸を摂ることによって回復する。
・OD(起立性調節障害)は鉄不足。
・血液検査には2種類あり、血液の中の鉄分と、貯蔵鉄と言って肝臓にためられている鉄がある。
鉄欠乏性貧血は、血液の中の赤血球が少なくて、鉄不足が進むことが原因。潜在性鉄欠乏性貧血は、体内の鉄は不足している。けれども、ヘモグロビンは正常値の鉄欠乏で、通常の血液検査ではわかりません。潜在性鉄欠乏、タンパク質不足が原因で起きる貧血。タンパク質不足だと鉄剤を飲んでも貧血が治らない。
・人体の鉄の流れは復数あります。1つは赤血球の形で血液の中を流れています。もう1つは血清鉄と言って、赤血球とは別の形の鉄です。体中の一つ一つの細胞にもたくさん鉄が必要で、その鉄を届けるため循環しています。この鉄は予備として肝臓に蓄えることもできます。これが貯蔵鉄で貯金に例えられます。
・腸で作られるセロトニンは、蠕動運動と言う腸を動かすためのホルモンです。トリプトファンと言うアミノ酸を材料にして鉄を使う酵素が働いてセロトニンが作られます。アミノ酸不足の人、鉄不足の人はセロトニンを作る力が弱くなるので、腸が動かなくなって便秘になります。
・甲状腺ホルモンもセロトニンと同じように、フェニルアラニンと言うアミノ酸に鉄を使う酵素が働いて作られる。実は鉄不足が原因で甲状腺ホルモンが不足することがある。皮膚のメラニン色素もその流れの中で出てくるので、栄養不足になると白皮症になる。
・体の中のホルモンは3種類ぐらいあって、①小さなタンパク質のようなアミノ酸が何個かつながったペプチド、⓶コレステロールを出発点にして作られるステロイドホルモン(性ホルモンは全てステロイド系)③アミノ酸誘導体型のホルモン(セロトニン、メラトニン、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリン系)です。ホルモンは仕事が終わったら消える。
・筋肉が固くなっているのは、ATPが不足しているからなので、鉄をしっかり摂り始めると腰痛が消えることがある。
・体温が35度しかない学生に南部鉄器をプレゼントして、使い方を教えたら2日後に体温が1度あがった。
・ミトコンドリアを大きな酵素に見立てると、ビタミンB6とかB12などのビタミンB群が必要です。そしてもう一つ、1番必要な栄養素が鉄です。だから、ビタミンB群と鉄が不足している人は、ミトコンドリアの働きが悪くなる。
・糖質制限を始めるよりは、まずビタミンB群と鉄をしっかり摂ることで、実は自然に糖質依存が
消える事が多い。
・糖尿病で辛いのは、インスリン抵抗性と言う現象です。食べ物を食べて血糖値が上がると、血糖値を下げるためにインスリンと言うホルモンが分泌されるけど、「君はもう十分栄養が取れているから、摂らなくていい」と言って、糖質が細胞に取り込まれなくなるから、いつまでたっても血糖値が下がらなくなる。でも、体の仕組みとしては頑張って、インスリンを分泌して血糖値を下げようとしているので、そのうち膵臓が「俺、もう嫌だ」と疲れて、2型の糖尿病が発症して悪循環になってしまう。糖尿病にもダイエットにも、鉄とビタミンB群が必要。よく豚肉を摂ると疲労回復が早いと言うのは、ビタミンB群が揃っているからです。
・コラーゲンは分子量が38万あるので、本当は塗っても食べても吸収できるはずがないのです。コラーゲンを摂ると、確かに肌がきれいになります。吸収されないのに、なぜなのか?ここで誘発と言う考え方があります。
・ペプチドでタンパク質が消化された状態で摂るとアミノ酸よりも吸収が早い。腸にはペプチドの受容体があって、アミノ酸なら1個ずつしか入らないけれど、ペプチドだったら、1個入ったら後は自然にずるッと入るので、吸収にエネルギーが全く要りません。
・たんぱく質と鉄は絶対的に重要な栄養素ですが、この2つが一番吸収されにくい。その吸収されにくさを克服したのが「だし&栄養スープ」です。吸収するのに一切エネルギーが要らないので、病弱な方にも適しています。
タンパク質不足がきつい人は鉄に対して拒否反応が起こる。タンパク質は消化分解されて、アミノ酸として吸収されるので、アミノ酸をたんぱく源として使えばアミノ酸は本来吸収されるはずの形の成分なので、炎症を起こすことなくたんぱく源が取れる筈です。
腎臓を患った方のご家庭から、タンパク質の過剰摂取にならないかと言う問い合わせがあるのですが、ハーバード大学の医学部と、その附属病院で分かった事として、すべてのたんぱく質が悪いのではなく、腎臓に負担が来るのは、牛の赤身と豚の赤身で、魚とか植物性のたんぱく質は負担がほとんどないのだそうです。そういう意味では「ダシ&栄養スープ」の材料はシイタケ、昆布、魚なので、最も負担のないものだと思います。実際、腎臓関係の病院でも使っていただいています。
・アスリートは鉄不足になりやすい。特に足裏に衝撃を受けると赤血球が壊れるので、運動が原因で貧血が起こる。あと、アスリートは代謝が高くないと運動できないので、代謝を上げるためにも鉄が必要です。
・生理痛のひどい人が「だし&栄養スープ」を1日50g飲んだら嘘みたいに改善したと言う報告があります。女性ホルモンも鉄がないと作れないので、鉄不足の人は女性系のトラブルが起きやすい。タンパク質不足も組み合わさっているので、鉄タンパク不足の人は鉄とタンパク質をしっかり摂っていくとピタッと改善することがある。
・今は添加物で味覚もダメになっています。理屈で勉強して添加物をやめられるかと言うと、やめられない。味覚が狂っているので、添加物で作った味を美味しいと思ってしまう。ところが、「だし&栄養スープ」を摂っていると、ある日、突然、添加物で作った味を受け付けなくなります。味覚が戻ってくるので、体に合うものを美味しいと感じ始める。
・発達障害にも味覚が絡んでいます。栄養不足になると偏食がきつくなります。発達障害も根本は栄養不足が原因だと考えられているので、栄養不足になると偏食がきつくなって味覚がだいぶん狂ってくる。
・母親が人工甘味料で味覚が狂っていると、胎児が糖尿病になる。
以上要約終わり
鉄とタンパク質が不足している方は結構多いと思います。特に女性は多いです。外国では小麦粉などに鉄を添加しているので鉄不足が少ないようです。
以下に当院の症例を載せます。
①50代 女性 主訴:左耳周囲の顔面がピリピリしたり、痛みが出る。
耳鼻科や市民病院受診したが治らなかった。当院で歯肉を見てほしいと言われたが問題なかった。6ヵ月経っても治らないと愚痴をこぼされたので栄養不足を疑い「騙されたと思ってプロテインと鉄を摂ってみたら」と勧めた所、8日後「先生治りました」とニコニコしながら診察室に入ってこられました。
②70代 女性 主訴:抜歯後7年の不定愁訴(ピリピリしたりズキズキする)
7年前抜歯後まだおかしいとの訴えがあり、診察、レントゲン検査で異常は認められなかった。栄養不足かもと、プロテインと鉄の摂取を勧めた。1週間後治癒。1ヶ月後に再度尋ねたところ「何のことですか?」と言われた。完治していた。
③70代 女性 主訴:喉の違和感、ピリピリした痛み
むし歯の治療で来院、その時、喉の違和感とピリピリした痛みがあり市民病院で診てもらったが、良くならないので一度見て下さいと言われた。特に問題はなかった。栄養不足を疑いプロテインと鉄を勧めた。3か月後、義歯調整で来られた時、喉の違和感、ピリピリした痛みはプロテインと鉄を摂って治りましたと言われた。
④中学生 男子 主訴:硬いものを食べてから歯が動く 既往歴:ADHD
審査した所、むし歯もなく歯並びもキレイで歯も動揺は見られなかった。プロテインと鉄不足を疑い、母親に話したところ、ADHDであり偏食があるとのことであった。サプリメントの摂取を勧めた。藤川徳美先生によると、ADHDも鉄不足が関係していると言われている。
⑤50代 女性
歯肉からソーメンが出てくる。
⑥70代 女性
歯肉から金冠が出てくる。
⑦60代 女性
歯肉から砂利が出てくる。
⑧60代 女性
歯肉から釘が出てくる。
5~8の症例は感覚異常症(セネストパチー)で、まだ栄養の勉強をしていなかったので適切な対応が出来なかった。今なら、プロテインと鉄の摂取を勧めたでしょう。カフカの著作に、虫に変身する小説「変身」と言うのがあるが、あれはプロテインと鉄が不足していたのではないかと思っている。
タンパク質と鉄により改善すると思われる症状、病気
鉄の働き 主なもの
鉄欠乏の臨床症状
皆さん、鉄、タンパク質不足にならないようにしましょう。