
糖質制限食に関する新しい知見が発表されました。デンマーク・オーフス大学病院の最新研究よると炭水化物を控えること(糖質制限)で「脳の血流が劇的に改善する」ことが明らかになりました。
私は13年前から糖質制限を始めました。そのころ、食べる量と飲む量は変わらないのに少しずつ太ってきました。今思うと糖尿病になりかかっていたようです。糖質制限食は主食であるコメのご飯、パン、うどん、ラーメン、スパゲッティなどのめん類を減らして、減らした分量だけ肉類、魚介類、卵、チーズを増やす食事です。
実は、糖質、タンパク質、脂質の中で一番太るのは糖質だそうです。糖質はエネルギー源ですが食べ過ぎて使われなかった糖質はホルモンの働きによって脂肪に替えられ身につきます。タンパク質は体の重要な構成要素です。
脳みそを除いて体のほとんどがタンパク質で出来ています。爪、髪の毛、ホルモン、神経伝達物質などもタンパク質で出来ているので一番大事な栄養素です。脂質は脳みそや細胞膜に必要で、食べすぎると便の中に排出されるそうです。糖質制限を始めて半年もしないうちに体重は6~7kg減少し、ズボンも1サイズ細めのものがはけるようになり現在に続いています。
以下引用始め
糖質制限と聞くと、「ダイエットの一種」と思う人が多いかもしれません。
しかしデンマーク・オーフス大学病院(AUH)の最新研究では、炭水化物を控えることで「脳の血流が劇的に改善する」ことが明らかになりました。日々の献立から「炭水化物」を減らすだけで、脳のパフォーマンスが高まり、神経の働きを助ける重要なタンパク質まで増えるというのです。 これはもはや減量テクニックではなく、脳の健康を守る“戦略的食事法”と呼べるかもしれません。 では、その仕組みとは一体どのようなものなのでしょうか?
研究の詳細は2025年4月2日付で医学雑誌『The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism』に掲載されています。
Ketogenic diet raises brain blood flow by 22% and BDNF by 47% in new studyhttps://www.psypost.org/ketogenic-diet-raises-brain-blood-flow-by-22-and-bdnf-by-47-in-new-study/
A 3-Week Ketogenic Diet Increases Global Cerebral Blood Flow and Brain-Derived Neurotrophic Factorhttps://doi.org/10.1210/clinem/dgaf207
生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。
ナゾロジー 編集部Nazology Editor
目次
通常の食事では、脳は主にブドウ糖(グルコース)をエネルギー源としています。しかし炭水化物の摂取量が大幅に減ると、身体は「ケトーシス」と呼ばれる代謝状態に入り、肝臓が脂肪を分解して「ケトン体」という物質を生成します。
これらのケトン体は血液脳関門を通過し、代替エネルギー源として脳に供給されます。こうした食事を「ケトジェニック食」と呼びます。ケトジェニック食は具体的に、炭水化物の摂取を大幅に減らし、代わりに脂肪を多く摂取するという食事法です。
これにより、体が糖の代わりに脂肪を燃やし、ケトン体という物質をつくって、これがブドウ糖の代わりに脳のエネルギー源として働くのです。ケトーシス状態になることで、体は効率よく脂肪を分解し続け、血糖値の急上昇や急降下を避けることができます。それにより、集中力や精神的な安定感が高まるともいわれています。
Credit: canva
では、どんなものを食べればケトーシスに入れるのでしょうか?一般的に、ケトジェニック食のカロリー比は、脂肪が70~75%、タンパク質が20%、炭水化物が5~10%程度となっています。このような食事によって、脂肪の酸化とケトン体の産生を促すことが狙いです。
例えば、ご飯やパン、麺類などの炭水化物は抜いてしまって、代わりに肉・魚・野菜、ナッツ類、チーズ、卵などを増やします。またケトジェニック食では、砂糖を含むスナックやパン菓子なども完全に抜きます。研究チームは今回、ケトジェニック食が脳の血流にどのような作用を与えるかを実験しました。
対象となったのは、50〜70歳の認知機能に問題のない健康な成人11人。彼らは3週間ずつ、通常のバランス食とケトジェニック食を体験し、その効果を比べられました。各食事期間の終了時には、脳の血流をPETスキャンで測定し、同時に血液検査も実施されました。研究結果は驚きの連続でした。
まず、ケトジェニック食を3週間続けた被験者は、血液中のケトン体の濃度が、通常食に比べて12倍以上に増加しました。これはしっかりとケトーシスに入った証拠です。そして、最も注目すべきは脳の血流量。なんとケトジェニック食の期間中は、脳全体の血流が平均で22%も増加していたのです。
これは脳への酸素や栄養の供給がそれだけスムーズになっていたことを意味します。さらに神経細胞の成長や可塑性(柔軟性)を促すタンパク質「BDNF(脳由来神経栄養因子)」の血中濃度も47%増加していました。このタンパク質は、記憶力や学習能力を支える「脳の肥料」とも言われており、認知症の予防にも関係しています。
健康な人にも脳機能改善の可能性
これまで、ケトジェニック食はアルツハイマー病や軽度認知障害の人に効果があるとされてきました。
しかし今回の研究では、まったく認知機能に問題のない健康な人においても、脳血流とBDNFが明確に増加することが確認されました。つまり、ケトジェニック食は「病気の治療食」ではなく、むしろ「脳を最適化する食事法」としての可能性を秘めているのです。この研究はまだ少人数で短期間の結果ですが、それでも「食事が脳にこれほど強く作用する」ことを改めて示した重要な報告です。
炭水化物を控え、脂質を主なエネルギー源とすることで、脳はより多くの血液を受け取り、より強く活性化される可能性があるのです。
もちろん、ケトジェニック食は万人向けではありません。医師の監修なく無理に実施することで何らかの問題が起きる可能性もあり、持病や体質によっては合わない人もいます。しかし脳の健康維持や集中力の向上を目指す人にとっては、選択肢の一つとして注目に値する食事法といえるでしょう。
以上引用終わり