歯周病になる原因は柔らかいものばかり食べることです。
やわな食物⇒やわな歯肉⇒歯周病菌の爆発⇒歯周病
人が野性の頃は、満足な包丁もなく製粉機もないミンチを作る機械もない、ジューサーもない、フードプロセッサーもないため、ほとんどの食べ物は歯で食いちぎって食べていました。歯肉には大きな力がかかり、鍛えられて引き締まった歯肉でした。精製された砂糖もないためむし歯もありません。
パンダがかわいいと言ってもニンジンやジャガイモを生のままかじります。成長するにつれて笹や竹をバリバリと食べます。歯肉は鍛え上げられています。肉食のライオンは草食動物をエサにしていますが、硬い毛皮を食いちぎって食べます。そのため歯肉は大変鍛えられています。
骨まで食べる患者さん
私は30年前、40代の男性患者を診察した時、歯肉は引きしまってピンク色で、歯肉炎も歯周炎もない素晴らしい状態でした。この患者さんは若い頃は甘いものを食べていたのでしょう、金属冠が数本ありましたが、そのうちの1本がすり減って穴が開いたのでやり直してほしいとの訴えでした。「すごく引き締まって素晴らしい歯肉ですが、一体どういうものを食べているのですか?」と質問しました。
患者さん曰く「私は魚が大好きで、サケは無理だけどサバまでの大きさの魚は頭からしっぽ、骨をすべて食べます。猫に魚の残りをあげられないのです。」なるほど金属冠に穴が開いたり、歯肉が引き締まっていたのはそういうことだったのか!と納得がいきました。
私はいい話を聞くと一度は挑戦してみます。しかし、サバの頭は固くて負けました。それに歯肉にあたって痛いのです。この患者さん、本当に恐るべし。
上の写真はサルの実験です。サルに同じ組成のエサを、硬さを変えて与えたものです。硬いエサでは問題ないですが、柔らかいエサでは歯肉が赤くなり腫れてきます。同じ食べ物でもあまり調理しないで食べるのと、ただひたすら美味しくするため過剰な調理をする今の日本も同じ状況です。歯周病が多発するのも仕方がありません。
続く