
広島に縁の深い平和活動家でジャーナリストのノーマン・カズンズ氏は. 50歳の時、過労から硬直性脊髄炎と言う、自己免疫疾患(膠原病)の難病にかかった。
彼は薬のアレルギーを持っていたため、あらゆる薬で副作用が出てしまった。カズンズは病気についてあれこれあれこれと考えを巡らせ、積極的な情緒は積極的な化学反応を起こさないだろうか。愛や、希望や、信仰や、笑いや、信頼や、生への意欲が治療的価値を持つこともあり得るだろうか、と考え医学誌を読んで薬の作用や自分に不足しているビタミンなどを調べ、仮説を立てた。
10分間腹を抱えて笑うと少なくとも2時間は痛みを感じずに眠れると言う効き目があった。笑いがカズンズの体に好影響を及ぼしていると言うのは数字にも現れた。愉快な小話を聞く直前と、それから数時間ごとに血沈の測定を行ってみると、いつも少なくても5ポイント数値が下がっていた。
その時カズンズは笑いは体の薬と言う昔からの説に病理学的な根拠があると知ってたまらなく嬉しかったと言う。さらに膠原病の患者はビタミンCが著しく不足していると言うことを知ったカズンズはビタミンCの大量摂取も試みた。カズンズは笑い療法とビタミンCの大量摂取を始めとし、自分なりに調べ仮説を立てて主治医であるヒッチングス博士に相談しながら独自に治療を続行した。そして完全に1日働けるまでに回復したのである。
人間の情動は分子栄養学的には全て栄養素、ビタミン、ミネラルの消費を伴います。ストレスを感じた時はタンパク質、ビタミンC、ビタミンE、カルシウムが大量に消費されます。笑いはNK細胞を活性化させ免疫力を向上させる。
以下引用
2021年1月4日
”笑ってNK細胞を増やせば長寿になる”
これは三石巌の著書『からだの中から健康になる長寿の秘密』の一節です。
三石は「寿命を延ばすための条件の第一は、科学を知ることである」とした上で、これを知らない人では、それに代わって、笑いが第一条件となる、と書いています。ただし、「すきっ腹では意味がない」とも付け加えています。
近年、笑いの研究では、NK細胞が活性化され、免疫力が向上することが多数報告されています。
笑いで病気を治してしまった例としては、ジャーナリストのノーマン・カズンズが有名です。過労から発症してしまった重篤な膠原病を治すために、薬での治療を止め、ビタミンCの大量療法と滑稽な映画を見て笑って過ごすことにしました。すると、8日目には痛みを感じなくなり、自然に眠ることができたと『ニューイングランド・ジャーナル』に発表し、著書『笑いと治癒力』にもまとめました。
日本では、糖尿病患者に漫才を聞かせ、血糖値に劇的な改善が見られたとの報告や、歯周病やリウマチでの改善報告、面白くなくても笑顔を作るだけで免疫力が活性化されたという研究報告もあります。
NK細胞は、白血球・リンパ球の一種です。常に身体中をパトロールして、がん細胞やウイルス感染細胞を最初に発見し、それらを攻撃・破壊します。加齢によって免疫力は低下しますが、その原因はNK細胞の働きが低下するためといわれています(下図)。
私たちの身体を病気や不調から守る免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がありますが、まず、第一段階として、生まれつき持っている自然免疫系が働いて防御します。NK細胞は、自然免疫系に属しています。
笑うことによって脳の前頭葉が活発になると、間脳を刺激し、情報伝達物質(神経ペプチド)の生成が促進されます。情報伝達物質は、血液やリンパ液を通じてNK細胞にたどり着き、その働きを活性化すると考えられています。
NK細胞には、抗ストレスホルモンのレセプター(受容体)があることも分かっています。これは、些細なことにこだわり悩んでいると、NK細胞は抗ストレスホルモンに捕まって働けなくなってしまうことを意味します。笑いはこの逆ということになります。
脳 (中枢神経系) と免疫系は、相互に情報を出しあいながら生体防御機能を担っています。
免疫系の細胞は、ステロイドホルモン ・成長ホルモン ・インシュリン ・エストロゲン ・ エンドルフィン ・カテコールアミンなど数多くのホルモンや神経ペプチドを受けとるレセプターをもっています。
その一方で、刺激されると甲状腺刺激ホルモンや成長ホルモン、エンドルフィンなどのホルモンを自身で産生することも分かっています。
アトピー性皮膚炎がストレスで悪化したり、蕁麻疹が出たりすることが知られていますが、その背景には脳と免疫系とのクロストークがあるのです。
「栄養的ストレス」とは、三石巌が「栄養不良」に対して提唱した言葉です。
笑いにはNK細胞を活性化し、寿命を延ばす働きがありますが、「栄養的ストレス」があっては意味がありません。
良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンCを土台に、免疫力の向上には、ビタミンA、ビタミンD、ミネラル(亜鉛、鉄、銅、ヨード)、EPAなど、様々な栄養素が関わっています。これらの栄養素を不足のないように摂取し、健全な免疫システムを維持することが大切です。
いわゆるリフレッシュや気分転換と呼ばれることでも、NK細胞が活性化することが分かっています。
笑い以外の気分転換のコツとして、三石巌は、頭脳労働が一番で、特に知的緊張感を呼び起こす本を読むことがお勧めと書いています。
皆さまのお好みは、笑いでしょうか?読書でしょうか?
健康長寿への第一歩です。
引用終わり