
江部康二先生の糖尿病徒然日記にがんに関する記事が掲載されました。大変興味深いのでお知らせします。
以下引用
炭水化物の摂取が多いほどがんのリスク増加の可能性あり。
2022年05月23日 (月)
こんにちは。毎日新聞 2022/5/23朝刊に掲載されたDr.中川のがんのヒミツ子どもの学びに期待によると日本は、男性の3人に2人、女性でも2人に1人が、がんに罹患(りかん)する世界トップクラスの「がん大国」です。そして炭水化物の摂取が多いほどがんのリスク増加の可能性あり。なのです。
A)
米国糖尿病学会(ADA)は「炭水化物・タンパク質・脂肪のうち、炭水化物のみが、血糖値に直接影響を及ぼす。」としています。
炭水化物に関して未精製のものと精製されたものを区別していません。<炭水化物=糖質+食物繊維>であり、血糖値を上昇させるのは糖質です。つまりADAによれば、未精製のものだろうと精製されたものだろうと、血糖値を直接上昇させるのは、炭水化物のみであり、タンパク質と脂肪は血糖値に直接影響を及ぼすことはないのです。これらは、エビデンス以前の生理学的事実です。
American Diabetes Association
Life With Diabetes:A Siries of Teaching Outlines
by the Michigan Diabetes Research and Training Center ,
-4th Edition-,2009
57ページ
B)
国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループの多目的コホート研究(JPHC研究)によれば、肝がんを除外すると、HbA1c値は直線的に全がんリスク上昇と関連していました 。すなわちB型ウィルス、C型ウィルスというウィルス感染による特殊な発がんリスク(肝がん)を除外すると『血糖値が高いほど、直線的に全がんになりやすい』という、とても簡明な結論です。以下、英文論文として掲載されていますので、すでにエビデンスとなっています。
ヘモグロビンA1c(HbA1c)とがん罹患との関連について。多目的コホート研究(JPHC研究)。(International Journal of Cancer 2015年11月WEB先行公開)
http://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3753.html
C)
A)により明らかですが、精製炭水化物だろうと未精製炭水化物だろうと炭水化物摂取により血糖値が上昇します。確かに、未精製炭水化物のほうが、精製炭水化物より少しだけ血糖値は上がりにくいです。
しかし例えば糖尿人である江部康二が、1人前の玄米を食べると食後血糖値のピークは220mg/dlくらいで、1人前の白米を食べると食後血糖値のピークは240mg/dlくらいであり、臨床的にはこの差は無意味です。
一方、たんぱく質や脂質を摂取しても、血糖値はほとんど上昇しません。例えばビーフステーキを200g食べてもそれに含まれる糖質は0.6gくらいであり、<0.6mg × 3mg = 1.8mg>と
1.8mgしか血糖値は上昇しません。
D)
A)B)C)を合わせて考察すると炭水化物の摂取が多いほど、血糖値が上昇するので必然的に全がんリスクが増加することとなります。スーパー糖質制限食なら、明白ながんリスクである食後血糖値の上昇を最少限に抑えることができます。すなわち、スーパー糖質制限食実践により、がん予防効果が期待できることとなります。
江部康二
引用終わり