
私は、約9年前、現在より体重が8kg増えて、結婚以来3回目のズボン総入れ替えの危機を迎えていました。このままだと、おじさん体形まっしぐらでした。食事は結婚当初と変わらないし、テニスは週2~3回で運動も十分でした。
悩んでいたところに、江部康二先生のホームページにたどり着き、著書を購入しました。江部先生自身が糖尿病になり、糖質制限食で克服され、患者さんにも同じように治療され素晴らしい業績を上げておられます。本は論理的であり理詰めで、理屈っぽい私はとてもよく理解できました。
簡単に書くと、糖質制限食とは、ご飯やパン、めん類などの主食を控えめにして、主食を減らした分おかずを増やすというものでした。主食の炭水化物はエネルギー源になりますが、使われずに余った炭水化物はインスリンと言うホルモンによって脂肪に替えられ、皮下脂肪と内臓脂肪になります。
何と脂肪が悪者ではなかったのにはびっくりでした。
それまでは、昼ごはんの後高血糖になり、5時ごろになると血糖値が下がり、強い空腹感、眠気、時には指の震え等が起きました。そのため、5時ごろチョコレートを2かけら食べてから仕事をしていました。
今から思うと、そのままの状態が続いていれば糖尿病になっていたかもしれません。幸い、糖質制限食(高タンパク低糖質食)は私に合っていたようで、糖尿病になることなく、順調に若い時の体形に近づいています。副反応もありませんでした。
糖尿病は血管病です。血糖値が高い状態は血液ドロドロ状態なので、血管がだんだん傷ついて弱くなります。目の血管が弱ると失明、腎臓の血管が弱ると人工透析、足の血管が弱ると足の壊死で切断となります。そのほか、心筋梗塞、脳梗塞、ガンなどにもなりやすくなります。俳優の渡辺徹さんが亡くなられましたが、糖尿病から人工透析、心筋梗塞などにかかり最後は敗血症で亡くなられました。風邪は万病のもとと言いますが、糖尿病も万病のもとになります。
それでは江部先生の記事を転載します。
以下引用始め
2022年12月01日 (木)
こんにちは
以前ベジタリアンと糖尿病について、質問を頂いたことがあります。
現実にはベジタリアンも糖尿病になります。 (*_*)
私自身も、<玄米魚菜食>を18年間実践中でしたが、52歳のとき、糖尿病を発症しました。他にも、マクロビオティック実践中に糖尿病発症という人もおられました。一旦糖尿病を発症したときは、糖質制限食に勝る治療法はありません。
ベジタリアンと糖質制限食ですが、「糖質制限食は肉も魚も食べ放題」というのが売りの一つなので、ベジタリアンで糖質制限食を実践している人は少ないと思います。
ベジタリアンのなかで、白米や白いパンや菓子パンや清涼飲料水というパターンよりは、玄米や全粒粉のパンとかなら、血糖値が上昇しにくい分、糖尿病発症予防という観点からは、まだましだとは思います。
例えば欧米の食事のガイドラインには、基本的に全て「穀物を摂取するなら未精製のものとする」という文言が入っていて、日本のガイドラインとは明確に温度差があります。
米国の文献で、白米を摂取する人は玄米摂取の人に比し、糖尿病発症リスクが増加するという報告もあります。しかし、運動不足の人が大量の炭水化物を摂取する生活が続くならば、例え未精製の穀物でも、糖尿病発症のリスクとなると思います。
さて、完全植物食だと、人体に必要な要素が不足する恐れがあります。例えば、ビタミンB12、EPA、DHA、タウリンなどは、基本的に動物性食品にしか含まれていません。
また鉄には 肉や魚などの動物性食品に多いヘム鉄と、植物性食品に多い非ヘム鉄が、あります。ヘム鉄は吸収率が20~30%ですが、非ヘム鉄では5%に過ぎません。従って、ので注意が必要です。
「玄米菜食+魚貝類+鶏肉+卵」は、高雄病院でも1984年から給食に導入しました。おそらく病院給食に玄米を導入したのは、高雄病院が日本で最初だと思います。現在もアトピー性皮膚炎など糖尿病や肥満以外の患者さんには入院中、供給しています。
幸い、「魚貝類+鶏肉+卵」といった動物食品も食べて貰ってましたので、ビタミンB12、EPA、DHA、タウリン、鉄の不足はなく、問題が生じたことは一度もありません。
ベジタリアンで、どうしても動物性食品が嫌なら、「ビタミンB12、EPA、DHA、タウリン、鉄」などをサプリで摂取するのが無難です。
せめて魚貝類だけでも、たまにではなく、しっかり毎日摂取されたら、サプリはいらないと思いますが・・・。
江部康二
以上引用終わり