7月10日、玉井歯科商店福山店で開催された歯周内科セミナー(塚本セミナー)に参加しました。(10:00~16:30)
むし歯が進行して虫歯菌が神経の中の血管に侵入することや、歯周病が進行して歯周病菌が歯肉の血管に侵入して全身の病気と関連があることは最近、テレビでも取り上げられるようになってきました。これを歯原性菌血症と言います。菌血症は血管を傷つけ、長期にわたると高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、ガンなどの危険性が高くなると言われています。
さて「歯周内科」とはあまり聞きなれない言葉ですが、相対する言葉に「歯周外科」があります。
「歯周外科」は歯周病学会でも認められている術式で、進行した歯周病に対して歯肉を切り開いて細菌感染した結合組織、骨などを整形して歯周病の治癒を図るものです。また保険では認められていない、より高度な歯周外科手術もあります。
私も30歳から5年間毎日歯周外科手術をしていました。しかし、免疫力の弱い方、歯磨きが十分でない方は6か月すると再発して本当に悩みました。
それに対して「歯周内科」は基本的に手術はしません。
歯周病は歯周病菌と真菌(カビ)によって起きるので歯周病菌にはマクロライド系抗生物質の服用、真菌(カビ)には抗真菌薬を歯磨き剤の代わりに使ってもらって歯磨きをするというものです。
その治療成績は「歯周外科」と同じぐらいなので、素晴らしいと思いました。なにしろ「歯周外科」は麻酔の注射をはじめ痛い思いをして怖いからです。ただし、この「歯周内科」治療は保険がきかないので実費となります。4~5万円かかりますのでそれがネックとなります。
毎日、むし歯・歯周病と戦っている歯医者としては4~5万円でここまでよくなるのなら本当に安いと思うのですが、保険が当たり前と思っている患者さんにとってはすごく高い金額と感じられるようです。
平均的な患者さんであれば2~3年で元が取れるし、その後は簡単なクリーニングで歯が守れるのでコスト・パフォーマンスは抜群です。
それよりなにより歯原性菌血症(むし歯菌・歯周病菌が血管の中に侵入して細菌が全身を循環して病気を引き起こす。例えば高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、ガン)を防いで体を守れるのですから健康寿命を延ばし「ピンピンころり!」も夢ではありません。(日本の場合平均寿命と健康寿命の差は約10歳、つまり晩年10年間は介護のお世話になったり寝たきりになったりです)
歯周病が中程度以上進行の患者さんには、是非ともこの歯周内科治療を受けていただきたいと思います。