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お知らせ

今週のお知らせ 糖尿病医が考える歯周病治療の重要性 心房細動の再発予防に関する国内研究から

投稿:2024年7月5日

今週のお知らせは、北里大学の山田先生の論文を転載します。山田先生は糖尿病の専門医であり、糖質制限食(高タンパク低糖質食)を取り入れた治療を行っています。

糖尿病と歯周病は相互に影響を及ぼしている事が分かっています。また、歯周病菌が、炎症を起こして弱くなった歯肉の血管に入り込み、全身をめぐりいろんな臓器に悪影響を及ぼすことも知られています。歯周病を軽視することなく予防に治療に頑張っていただきたいと思います。

以下引用始め

2024年06月20日 05:10
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96名の医師が参考になったと回答

研究の背景:糖尿病と歯周病、糖尿病と心房細動の関係はよく知られている

糖尿病と歯周病との相互的な関係性(互いの存在が互いを悪化させること)はよく知られており、歯周病治療で血糖管理が改善することも報告されている(Diabetes Care 2010; 33: 421-427)。

一方、糖尿病が(非発作性)心房細動と関連することがここ数年で報告されるようになり(Diabetes Obes Metab 2019; 21: 210-217)、既に両者の関係性(互いの存在が互いの有病率を上げるというよりは、今の時点では糖尿病の存在が心房細動の発症リスクを上げること)は認識されつつあるようである(World J Diabetes 2023; 14: 512-527)。

さらには、糖尿病治療にSGLT2阻害薬を用いることで、心房細動の発症を予防しうるという仮説も提唱されているようである(Circulation 2020; 141: 1227-1234)。

そんな中、歯周病治療が心房細動の再発予防に有効であるということを示唆するデータが広島大学のグループから報告された(J Am Heart Assoc 2024; 13: e033740)。糖尿病の人が15.3%しか含まれておらず、糖尿病の有無別のサブ解析もないデータではあるのだが、歯周病治療の重要性を示す論文として取り上げたい。

研究のポイント1:カテーテルアブレーション後の心房細動再発率を検討

カテーテルアブレーション後の心房細動再発のリスクとして、肥満、身体活動の乏しさ、睡眠時呼吸障害、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、喫煙、アルコール摂取、カフェイン摂取が知られているらしい(Circulation 2020; 141: e750-e772)。この広島大学のグループからのものを含めて、これまでに2報の論文が歯周病と心房細動再発の関係について報告しているとのことである(J Cardiovasc Electrophysiol 2021; 32: 1240-1250Front Cardiovasc Med 2023; 9: 1061243)。

そこで今回、研究グループは歯周病と心房細動再発の関係性を確定し、かつ歯周病治療が心房細動の再発予防に寄与するかどうかを検討すべく、ランダム化比較試験(RCT)ではないが、前向き比較試験を実施したという。

2020年4月1日~22年7月31日に広島大学病院でカテーテルアブレーションを受け、書面によって同意の意思を示した連続330例が被験者として登録された。被験者は全員がカテーテルアブレーションの前日に歯周病の評価を受けた。歯周病検査を受けなかった11例と、左房内血栓を指摘された18例はその時点で除外された。

歯周病の存在を指摘されて歯周病治療に同意した98例に対しては、アブレーション後1カ月目と3カ月目に歯周病治療が強く勧告された。歯周病治療に同意を表明しなかった213例は、アブレーション後にそのまま経過観察のみを受けた。さらに、アブレーションが完遂できなかった2例と観察期間が不十分とされた21例を除外し、歯周病治療群97例、歯周病無治療群191例が解析の対象とされた。

歯周病検査においては、表1の項目が評価された。主たる歯周病菌に対する抗体価や炎症性サイトカインなども評価された。

表1. 歯周病検査における検査項目

主要評価項目は、アブレーション後3カ月以降における心房細動の再発である。アブレーション後3カ月未満での再発は早期再発とし、主要評価項目としてはカウントしないものとした(山田註:アブレーションの不全として扱っているように思われる)。心房細動再発のチェックのため、被験者はアブレーション後1、3、6、9、12カ月とその後は半年ごとに、外来で定期フォローアップを受けた。

定期フォローアップにおいて、12誘導心電図検査と24時間ホルター心電図検査が実施されるとともに、それらの検査において心房細動の再発が確認できないものの自覚症状から再発が疑われる場合には、14日間のイベント記録やポータブル心電図モニターが適用された。また、被験者が動悸を感じた際には外来診察室か救急治療室を受診し、心電図をチェックしてもらうよう指導がなされた。どれか1つの検査において1回でも心房細動のエピソードが確認されたら、再発と判断された。

研究のポイント2:アブレーション後の歯周病治療は心房細動の再発予防に有効

歯周病治療群97例と無治療群191例の特性は表2の通りであり、無治療群の方がPISAが小さい(歯周病として軽症である)ことを除き、統計学的な有意差はなかった。

表2. 歯周病治療群(97例)と無治療群(191例)の患者特性

平均507日(507±256日)の追跡期間において、無治療群の70例(24%)で心房細動が再発した。心房細動再発に対する影響の有無をCox回帰分析で検討したところ、歯周病治療を含む幾つかの因子が有意に関連していることが分かった(表3)。

表3. 心房細動の再発に関連する因子:Cox回帰分析(多変量解析のみを掲出)

心房細動の再発を歯周病治療群と無治療群に分けてKaplan-Meier曲線にしたのが図1である。全期間を通しては両群間の再発率に有意差はなかったものの(P=0.08)、12カ月までの検討では歯周病治療群で有意に低率であった(P=0.04)。

図1. アブレーション後の心房細動の非再発率

また、無治療群におけるPISAと心房細動再発の関係性から、ROC曲線を用いて心房細動再発の最善予測PISA値(感度38.9%、特異度89.0%)として615.8mm2を採用し、PISA 615mm2超(高PISA群、71例)と以下(低PISA群、217例)に分けて解析してみると、高PISA群では歯周病治療群の心房細動再発率が無治療群に比べ有意に低かった(図2)。

図2. 高PISA群、低PISA群別のアブレーション後の心房細動の非再発率

(表1~3、図1~2ともJ Am Heart Assoc 2024; 13: e033740)

なお、心房細動再発の有無とPISAとの関係を無治療群において検討すると、早期再発のあった者となかった者でPISAに差異はなかったが(360.9±372.1mm2 vs. 296.6±272.9mm2、 P=0.21)、再発のあった者ではなかった者と比べPISAが有意に大きかった(456.8±403.5mm2 vs. 277.7±259.0mm2、P=0.001)。

また、高PISA群と低PISA群で各種炎症マーカー・サイトカインを見ると、単球走化性蛋白質(MCP)-1以外〔高感度C反応性蛋白質(hs-CRP)、IL-1β、IL-4、IL-6、IL-10、IL-17A、TNFα〕は高PISA群で有意に高値であった(一例としてhs-CRPは中央値0.09mg/dL vs. 0.06mg/dL、P=0005)。

そして、細菌に対する抗体価と心房細動再発の関係を見てみると、発作性心房細動においては主たる歯周病菌と関連は認められなかったが、非発作性心房細動においては、P. gingivalisF.nucleatumが関連していたという。

こうした結果から広島大学のグループは、今回の結果の確定には多施設によるRCTが必要としながらも、歯周病は治療可能な心房細動(再発)のリスクであり、アブレーション後の歯周病治療は心房細動再発予防に有効であろうとしている。

私の考察:歯周病のチェックをさせ(し)なくては!

日本歯周病学会による指針『歯周病と全身の健康』において、歯周炎症が糖尿病の病態に及ぼす影響の想定メカニズムが記載され、糖尿病と歯周病との関連が記載されるとともに、歯周病と動脈硬化症(血管障害)、早産・低体重児出産、誤嚥性肺炎、関節リウマチ、慢性腎臓病、非アルコール性脂肪肝炎、アルツハイマー病との関連性が記述されている。しかし、そこには心房細動は掲載されていない。歯周病と心房細動の関連は、広島大学のグループが世界に先駆けて提唱した新知見になるだろう。

元来、糖尿病患者は歯周病との関連が強い。日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン』では2010年版以降、1つの章を設けて糖尿病と歯周病との関連を解説し、糖尿病患者に対する歯周病ケアの重要性を知らしめてきた。

今回の研究は、私たち医療従事者が糖尿病患者に歯周病チェックを(無症状であっても)必ず定期的に受けさせねばならないことを知らしめてくれているように思う。

そして、思い起こすと高血圧症だった私の祖父は、60歳代で総入れ歯でもあり、70歳代前半で心房細動による脳梗塞を発症して亡くなったと記憶している。無症状ではあるが、自分自身も定期的な歯周病チェックを受けねばならないと思った次第である。

山田悟氏のDoctor’s Eyeは毎月20日に掲載します。次回は7月20日の予定です。

96名の医師が参考になったと回答

山田 悟(やまだ さとる)

1994年、慶應義塾大学医学部を卒業し、同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て、2002年から北里研究所病院で勤務。 現在、同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら、2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医

以上引用終わり

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