逆流性食道炎で悩まれている人は結構いると思います。私の周りにも、何人か逆流性食道炎の人がいました。
実は食べ物によって消化吸収速度が違います。内視鏡で胃の中を見ると、残っているのはうどんや米粒などの炭水化物(糖質)で、肉や魚などのタンパク質は見つからないことがよくあるそうです。病み上がりの人や、赤ちゃんの離乳食に白米のおかゆが出てきますが消化吸収は良くないし、栄養価も低いです。むしろ、肉汁スープや卵スープの方が消化吸収も良く栄養価も高いです。と言うことは炭水化物をたくさん食べると胃につかえる事になります。さてどうなんでしょうか?
江部康二先生の「糖尿病徒然日記」から転載します。
以下引用始め
逆流性食道炎は、酸性の胃液やそれと混ざった食物が、食道に逆流して食道が炎症を起こし、胸やけや胸の痛みなどを生じる病気です。
健康な人でも胃酸の逆流がみられることはありますが、時間が短いため問題になることはありません。逆流の時間が長くなると、食道の粘膜は胃酸に対し弱いため食道に炎症を起こすようになります。
この病気は成人の10〜20%がかかっていると推定されており、中でも中高年、特に高齢者に多くみられます。適切な治療を受けなかった場合には、症状が持続することにより生活に支障を来すことも知られています。
逆流性食道炎の症状を訴える患者さんのほとんどが、糖質制限食開始後、リアルタイムに改善します。(^^)
当初、私自身が信じられなかったのですが、もう400人以上に試してみて、脂っこいものより炭水化物が胸やけを起こす真犯人と確信しました。ここまでくると、逆流性食道炎は、炭水化物の過剰摂取が根本要因である可能性が極めて高いと思います。
700万年の人類の歴史のなかで、特に精製炭水化物を大量に常食し始めたここ200~300年に発症した特殊な病気の一つが逆流性食道炎です。
一番印象的だったのは、中学校の頃から、20年間以上毎日昼食後1時間と夕食後1時間に、必ず胸やけがあった30代の男性患者さんです。胸やけ以外は、何の病気も症状もありません。特に、カレーライスの日は最悪で、夕食後1時間に加えて、夜中の1時にも胸やけがあって苦しんだそうです。
この患者さんに、ブログ読者の皆さんでの成功経験があったので、「騙されたと思って兎に角スーパー糖質制限食を試してごらん?」と奨めてみました。2週間後の外来診察で、糖質制限食開始当日から、20年来の胸やけが一切消失したという驚きの報告をしていただきました。ヾ(゜▽゜)
カレーライスというのは、<ご飯+カレールーの小麦粉>で二重の糖質なので、寿司飯(ご飯+砂糖)と共に最も血糖値を上げやすい食材です。σ(=_=;)ヾ
「饅頭1個だと胸やけなしだけど、2個だと胸やけ必発」という人もあり、個人の糖質摂取許容量の限界を超えると、胃酸が出過ぎて胸やけを生じるような気もします。逆流性食道炎を生じる限界の糖質摂取許容量には個人差があるようです。
逆流性食道炎の症状は、糖質制限食でリアルタイムに改善する例がほとんどです。言い換えれば、糖質の過剰摂取が逆流性食道炎の原因の可能性が高いです。
それでは、そのメカニズムについて考察してみましょう。
まず血糖値が上昇すると、視床下部が感知し副交感神経(迷走神経)を介して膵臓のランゲルハンス島のβ細胞に伝えられます。このとき副交感神経が優位だと幽門が収縮し、噴門は弛緩しますので、胃の内容物は食道へ逆流しやすくなります。つまり糖質を摂取すると逆流性食道炎を起こしやすくなる理屈です。
この仮説は、岩手県久慈市の関上こどもクリニック、関上勇先生からご教示頂きました。
私もこの仮説に賛成です。関上先生、ありがとうございます。 江部康二
以上引用終わり