
年を取るとトイレが近くなりますが、亜鉛を十分にとると前立せん肥大が改善され、トイレの近いのが良くなります。また、新型コロナのかかった人が味覚障害になる例が沢山報告されていますが、ウィルス感染に亜鉛が大活躍していることを示しています。
亜鉛のサプリメントもありますので不足しないように注意しましょう。それでは、亜鉛についてのニュースを転載します。
以下引用始め
きょうの健康
初回放送日:2025年9月4日
亜鉛は人体にとって欠かせない、必須ミネラルの1つ。成長・発達や 皮膚の代謝、生殖機能 免疫機能 味覚の維持など 人体の大切なさまざまな働きに関わっている。
最近の研究で、亜鉛が欠乏するとさまざまな症状が出るだけでなく、心筋梗塞や感染症のリスクが高まり、命にかかわることも明らかになってきた。しかも日本人の10~30%が亜鉛欠乏状態と推定されるという。亜鉛欠乏のサイン、対処法について、専門家が解説する。
目次
2025年1月、「亜鉛欠乏症の診療指針2024」が発行されました。いままさに亜鉛欠乏症の重要性が見直されつつあり、医療現場での対応が広がり始めています。
かぜが長引く、だるい、味覚がおかしい、食欲不振。こうした不調に心当たりがある方は、もしかすると「亜鉛欠乏症」かもしれません。亜鉛は健康のために必要な必須ミネラル。ところが日本人の10%~30%が必要量を満たせていないといわれています。特に高齢者では、加齢に伴って食が細くなり、さらに消化吸収の力も低下するため、亜鉛が不足しやすくなります。また、成長期の子どもは、体づくりに多くの亜鉛を必要とするため、不足すると成長や発達に影響が及ぶ可能性があります。
最近の研究では、亜鉛が不足すると、心筋梗塞や感染症など、命に関わる病気のリスクが高まることもわかってきました。これまで医療現場では、亜鉛欠乏の重要性はあまり認識されていませんでした。しかし最近では、「なんとなく不調」の背景に亜鉛不足が隠れている可能性があると考えられるようになってきています。
亜鉛は、からだに欠かせない微量ミネラルのひとつです。体内でつくることができないため、食事から摂取する必要があります。日本では食事摂取基準が定められており、成人男性で9~9.5mg、女性で7~8mgが1日の推奨量とされています。
亜鉛が必須とされる理由は、わたしたちのからだの中で「300種類以上の“酵素”の働きに関係」しているからです。酵素は、体の中で化学反応をスムーズに進める“助っ人”のような存在で、DNAの複製やたんぱく質の合成、古い細胞の修復などに関わります。こうした多くの酵素が亜鉛を必要としているのです。
亜鉛が欠乏すると、体のさまざまな機能に影響が出ます。成長・発達の面では、子どもの低身長や発達の遅れがみられることがあります。皮膚では、傷が治りにくくなったり、脱毛が起こることがあります。生殖機能では、亜鉛は男性の前立腺に多く含まれているので、欠乏すると性腺機能障害や男性不妊の原因になることがあります。免疫機能への影響として、かぜが長引くことがあります。味覚では、舌の上皮細胞には亜鉛が多く含まれており、亜鉛が不足すると、味がわからなくなって、味覚障害が起こることがあります。味覚障害によって味がわからなくなると、食べる気がしなくなり、食欲不振になります。また、亜鉛は脳の食欲中枢の機能に直接関わっているとも考えられているので、それも食欲不振につながります。
最新の研究で、亜鉛が不足すると、心筋梗塞や感染症といった命に関わる病気のリスクが高まることがわかってきました。例えば心筋梗塞では、患者の血清亜鉛値が健康な人より低いことが複数の研究で示されており、特にアジア人でその傾向が強いとされています(※1)。感染症に関しても、新型コロナウイルスに感染した患者では亜鉛値が低く、亡くなった方はさらに低いことが報告されています(※2)。また、日本で行われた慢性腎臓病患者の追跡研究では、血清亜鉛濃度が少ない人は感染症で入院するリスクが約2倍に高まることが明らかになりました(※3)。このように、亜鉛不足は「だるい」「食欲がない」といった軽い症状にとどまらず、命に関わる病気のリスクを高める可能性があるのです。
※1 Liu B, Cai ZQ, Zhou YM: Deficient zinc levels and myocardial infarction : association between deficient zinc levels and myocardial infarction: a meta-analysis. Biol Trace Elem Res, 165:41-50 (2015)
※2 Yasui Y, Yasui H, Suzuki K, et al. Analysis of the predictive factors for a critical illness of COVID-19 during treatment—relationship between serum zinc level and critical illness of COVID-19. Int J Infect Dis 2020;100:230–236
※3 Saka Y,Naruse T,Matsumoto J,et al.:Low Serum Zinc Concentration Is Associated With Infection Particularly in Patients With Stage 5 Chronic Kidney Disease Medicated with Proton Pump Inhibitors.J Ren Nutr,31:579-85(2021)
血清亜鉛値が基準より低く、さらに味覚障害や皮膚の症状、食欲不振などの症状がある場合は、「亜鉛欠乏症」と診断され、治療の対象となります。血液検査で亜鉛の値が低く出ても、症状がなければ、治療の必要がないこともありますが、症状を伴う場合には、積極的に治療が行われます。
亜鉛欠乏症と診断されるのは、以下の条件がそろった場合です。
症状:だるさ、味覚障害、皮膚の異常などがあり、ほかに原因となる病気がない場合
血清亜鉛値:血液検査で60µg/dL未満と低い場合
さらに、血清亜鉛値が60~80µg/dLの「潜在性」の範囲でも、症状があれば治療を検討します。ただし、この範囲には症状のない人も多く含まれるため注意が必要です。なお、血清亜鉛値は、一般的な健康診断の項目には含まれておらず、医師が必要と判断した場合に個別に行う検査です。また、2024年の亜鉛欠乏症の診療指針の改訂で、「診断・治療したほうがよい病気」と位置づけられたことで、医師の意識も変わりつつあります。検査を受けるには、総合診療科やかかりつけ医を受診する際に「気になる症状がある」と一言伝えることが大切です。
亜鉛は食事から摂取する必要がありますが、食事量の減少や偏った食事によって不足しやすくなります。特に高齢になると食事量が減りやすく、亜鉛の摂取量も少なくなります。さらに、動物性食品を避け、野菜や穀物中心の食生活を続けていると、不足につながります。近年は、農作物を育てる土壌中の亜鉛が減少していますので、農作物中の亜鉛の量も減っていますし、加工食品が多い食生活も亜鉛の摂取量を減らすことにつながります。
食べ合わせで亜鉛が欠乏することもあります。小麦や豆類に含まれるフィチン酸、食物繊維、乳製品のカルシウムなどは、亜鉛の吸収を妨げる要因になります。ただし、過度に気にしすぎると栄養バランスが崩れてしまいます。結局のところ「さまざまな食材をバランスよく食べる」ことが最も大切です。健常な方であれば、多少基準を下回っても体内の貯蔵分でやりくりできるため大きな問題にならないことが多いです。
腸の病気、肝臓病や腎臓病、糖尿病などによって、亜鉛の吸収や利用が阻害されることでも亜鉛不足になります。降圧薬やステロイドといった薬も影響します。慢性腎臓病や糖尿病、透析を受けている人などは不足しやすく、むしろ基準以上を意識してとることが勧められます。
このように「食事の量と内容」「病気や薬の影響」「環境の変化」などが重なり合い、亜鉛不足が起こりやすい状況になっていると考えられます。
亜鉛欠乏症の治療は主に2つです。
亜鉛を補うために最も代表的な食材は牡蠣(かき)。非常に効率よく亜鉛をとれる食材です。生でも焼きでも問題なく、1個あたりおよそ5mg前後の亜鉛が含まれており、吸収率の問題を抜きに考えれば、2個で1日の推奨量をカバーできる計算になります。ただし、牡蠣だけに頼る必要はなく、あくまで食事全体のバランスが大切です。そのほかの亜鉛を多く含む食材としては、煮干し・赤身肉・ビーフジャーキー・豚レバー・パルメザンチーズ・抹茶・カシューナッツ・いりごまなどが挙げられます。普段の食事に取り入れやすいものも多いため、意識して組み合わせるとよいでしょう。
亜鉛製剤は、最初は少なめの量から始めて、医師が効果や副作用の様子をみながら薬の量を調節します。診療指針では、学童以降から成人に対しては1日あたり50~150mg、幼児では25~50mgの服用が推奨されており、これは通常の1日の推奨量の5倍以上にあたります。食事で少しずつ増やすのとは異なり、血中の亜鉛濃度を早く正常化するために、治療目的でしっかり補充していく、というわけです。
ただし、亜鉛を過剰にとりすぎると、鉄や銅の吸収が妨げられてしまい、副作用につながる恐れがあるため注意が必要です。このため、治療中は2~3か月ごとに採血を行い、血液中の亜鉛・鉄・銅の値を確認しながら投与量を調整していきます。亜鉛製剤は原則として毎日服用しますが、ずっと続ける必要があるわけではなく、通常は3か月から半年ほど続けて、症状が改善すれば徐々に減量し、最終的には休薬を目指します。ただし、糖尿病や透析を受けている人のように、亜鉛不足になりやすい状態が続く場合には、長期的な服用が必要になることもあります。
サプリメントも、品質管理が適切に行われている製品を補助としてお使いいただくことは差し支えありません。ただし、サプリメントは医薬品ではないため、血清亜鉛値を血液検査で確認せずにのみ続けてしまう場合が少なくありません。その結果、気づかないうちに「過剰摂取」となり、鉄や銅が不足してしまうといった副作用のリスクが生じる可能性があります。サプリメントを利用する場合は安易に長期的に続けるのではなく、できるだけ医師と相談のうえで使用すると安心です。
以上引用終わり