
先日テレビを見ていたら、子供たちが新型コロナウイルス感染症にかからないように自宅待機の間にむし歯が出来、また重症化していると報道していました。
学校に通学している間は、勉強、給食、勉強と規則正しい生活を送っていました。新型コロナウイルス感染症対策のため自宅待機を余儀なくされたため、暇なときついついお菓子をつまんでしまいむし歯が増えたものです。
中高年の人も、子供たちと同じように生活の変化によりむし歯が激増することがあります。例えば、定年退職した人が自宅で長く過ごすと、つい手持無沙汰で甘いお菓子をつまんでしまい、それまであまりむし歯がなかったのに急にむし歯が増えてしまいます。あれどうしたんだろうと思っていると、定年退職だったことが多いです。
この事から判るようにむし歯は生活習慣病です。我々人間の砂糖に対する依存性は大変高いのです。なかなかやめられません。ベルギーの保健大臣は「砂糖は麻薬である」と言ったそうです。
もし砂糖がなかったら、むし歯は激減し、入れ歯になる人が減って、全身の病気(肥満、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、ガンなど)も少なくなり健康寿命はもっと長くなることでしょう。徳川14代将軍・家茂は若くして脚気(ビタミンB1欠乏症)で亡くなりましたが、甘いものが大好きでした。砂糖で殺されたようなものだと私は思っています。
脱灰とは、食物中に含まれる炭水化物(特に砂糖)が細菌により分解され酸がつくられる。その結果、歯垢のpHが低くなり(pH5.6前後以下)エナメル質が溶けます。再石灰化とは、唾液の緩衝作用、洗い流し作用、希釈作用などにより徐々にpHが回復して唾液中のミネラルなどにより溶けたエナメル質が修復されます。
脱灰と再石灰化を比べて再石灰化が大きければむし歯は防ぐことが出来ます。脱灰が大きければ何日か積み重なれば虫歯になります。
1日3食と10時と3時のおやつ、夜食を食べた場合
脱灰が再石灰化を上回っています。この状態が続けばそのうちむし歯が出来ます。
上の図はおやつの回数が増えるほどむし歯が増えることを示しています。甘いおやつを食べないのは大部分の日本人にとって大変つらいことでしょう。
話は変わりますが、今は亡きコメディアン・植木等氏の名曲(迷曲)に「すーだら節」があります。その一節です。 「ちょいと一杯のつもりで飲んで、いつの間にやら、はしご酒、気が付きゃホームのベンチでごろ寝。これじゃ体に良い訳ないよ。判っちゃいるけどやめられない。あ、それ。スースース-だらだった、スラスラスイスイスイ・・・」
この曲を渡された時、本来まじめな植木等氏は悩んで、お寺の住職であった父親に相談したそうです。「こんなふざけた曲を歌っていいものだろうか?」と、住職の父親は「素晴らしい曲だから、ぜひ歌いなさい」と言ったそうです。
このエピソードを知った時、私は感動しました。「そうだよな、みんな、判っちゃいるけどやめられないの世界で生きてるんだよな」
本題に戻って、それではどうしたらいいのか?甘いものを食べるなとは言いません。なにしろ我々は「すーだら節」の世界に生きているのですから。
勿論、精神的ストレスなく砂糖断ちが出来ればそれが一番ですが。ストレスをためるのはかえって体によくありません。
あるお医者さんは禁煙運動を進めかなりの患者さんを禁煙させることに成功しました。
ところがある時、禁煙した患者さんがどうなったのか、気になり調べたところ、ガンになった患者さんが多かったそうです。禁煙のストレスがかえってガンを引き起こした可能性があると思ったそうです。
対策
この方法は北欧で実際に行われています。
自分でお菓子を作るときもキシリトールなどを使います。コーヒー、紅茶にも使えます。
食事やおやつを食べると必ず歯垢が出来、奥歯の噛む面の溝、歯と歯の間、歯と歯肉の境界にいつまでも残ってしまうのです。歯垢は糊のようにネバネバしており、歯磨剤を使っても取れません。歯ブラシが届いて毛先が当たったところだけが歯垢が取れるのです。なので、まず歯ブラシだけで歯垢をきれいにかきとります。舌で触ってツルツルになったら歯垢は取れています。
ツルツルにならない場合は歯石や虫歯があるかもしれないので歯医者さんに行ってください。歯ブラシだけでも十分ですが、茶渋を取りたい、歯を丈夫にしたい方は、高濃度のフッ素が入った歯磨剤を最後に使ってください。