
昔の人は普通に親知らずが生えている人が多かったのですが、最近の人は親知らずがうまく生えない人が多いです。人によってはレントゲンを撮ってみると親知らずがないことがあります。これは進化と言ってもいいかもしれません。
智歯周囲炎
うまく生えないとそこに歯垢が残り炎症が起きます。軽い場合は噛んだり歯磨きすると痛んだり、赤くなったり腫れたりします。ひどくなると膿がたまったりして顔がはれ上がり口が開かなくなります。
軽い場合は洗浄すればよくなりますが、ひどい場合は抗生物質を飲んだり、切開して膿を出す必要があります。最終的な解決策は抜歯です。真横になっている親知らずを抜くのは少し大変です。歯肉を切開して骨を削り、歯を分割して抜くので時間もかかります。
このとき気を付けないといけないのは、親知らずの歯根の先が下歯槽神経と言う太い神経を傷つけないようにすることです。傷つけると下口唇が麻痺して治るのに何カ月もかかります。
7番むし歯
レントゲン写真の見方ですが、歯肉は映りません。骨と歯が映ります。歯の真ん中にある黒い筋はいわゆる神経です。白く映っている部分は金属の詰め物や冠、ブリッジです。歯の神経以外で黒く映っている部分はむし歯です。
上のレントゲン写真では、8番(親知らず)が真横になって7番の横にぶつかって、2本とも虫歯になっています。治療としては8番(親知らず)は抜歯します。7番は神経を取る治療になることが多いです。
噛む面から神経までの距離と横から神経までの距離を比べると横からの距離のほうが短いので神経が炎症を起こす可能性が高いからです。
神経を取った歯は木に例えると枯れ木になったことを意味します。したがって、割れたりヒビが入ることが多く10年20年経つと抜歯に至ることが多いいのです。神経が痛む前の治療が大事です。もっと良いのは痛みがなくても定期的に検診を受けることです。
7番歯周病
この症例では、8番(親知らず)を抜いて7番のむし歯の治療が終わると、最後の問題は7番の奥側の歯槽骨(矢印の部分)が半分以上なくなっていることです。この部分を上手に歯磨き出来ないと膿が出たり歯が動揺して抜歯に至ることもあります。
歯列異常 前歯部
最近、「若い時は前歯がきれいに並んでいたのに凸凹してきた」と言われる患者さんが出てきました。いずれも下の前歯です。
親知らずは前へ移動しようとしますので、前の歯を押す力があります。何年もこれが続くと前歯が歯列から外れてしまうのです。
対策
歯列矯正:ワイヤー矯正またはマウスピース矯正で治ります。この場合保険がきかないので20万円以上の費用がかかります。
現状維持:現状維持する場合はマウスピースを夜間装着することでこれ以上の歯並び悪化を防ぐことが出来ます。