
最近認知症の患者さんが増えています。当院の患者さんにも増えていて、診療に大変神経を使うことが多くなりました。自覚している患者さんと自覚していない患者さんがいます。
自覚している患者さんは、私が説明をするとき、付き添いに言ってくださいとか、メモに書いてくださいなどと言われます。
自覚していない患者さんの場合、普通に説明すると理解していただけなかったり、機嫌を損ねる感じになったりするので注意が必要です。
また、保険証を忘れた患者さんが、保険証を取りに帰られてから2時間たっても来院されないので、自宅に電話すると帰っていないと言うことで、家族の方が近所を探しましたが見つからず、警察に捜索してもらいやっと見つかったケースもありました。
掲載日:2019.09.20
Q.「歯周病を放置していると、認知症が進行する」と歯医者さんで聞ききました。本当ですか?
A.はい、その通りです。認知症の高齢者は年々増加し、2025年には65歳以上の5人に1人が認知症になるといわれています。認知症にはいくつか種類があり、その多くは脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症です。
歯周病は50歳代以上の約80%がかかっている疾患です。一般的に、歯周病というと、口の中の病気と捉えられがちですが、最近の研究では認知症とも関わっていることが分かってきています。歯周病にかかっていると、口の中の菌が歯ぐきから血管内に侵入し、脳まで流れ着いて、小さな脳出血を引き起こします。その結果、神経細胞がダメージを受けて脳血管性認知症を引き起こすと言われています。
さらに、歯周病がある方は口の中で慢性的な炎症が起こっています。それを放置しておくと、今度は全身に炎症が広がっています。アルツハイマー型認知症は脳の炎症でなので、歯周病の影響で炎症が増強され、進行してしまいます。
また、成人で歯を失う原因のうち、最も多いのが歯周病ですが、歯が抜けている本数が多い方ほど認知症を発症しやすいことも分かっています。他にも、歯周病と認知症の関係は、様々な研究結果から明らかになってきています。毎日の正確なブラッシングと、定期的な歯科医院での健診によって、認知症のリスクを減らしていきましょう。(京都府歯科医師会 広報室室員 新田 陽平)
認知症の原因として70%を占めるアルツハイマー病。脳の神経細胞が減少したり、脳全体が委縮したり、脳の神経が糸くずがもつれるような変化を起こしたりします。脳に「老人斑」というシミが広がるのも特徴です。この老人斑が、歯周病原因菌から作られるということが明らかになったのです!
ヒト歯周病の歯茎からアルツハイマー型認知症の脳内老人斑成分が産生
「ヒト歯周病の歯茎からアルツハイマー型認知症の脳内老人斑成分が産生されることに大変驚きました。アルツハイマー型認知症の予防に口腔ケアはとても重要です。」
2019年11月14日、この研究結果を発表した九州大学でも、非常な驚きをもって伝えられています。九州大学 研究成果
■世界初ヒト歯周病の歯茎で脳内老人斑成分が産生されていることが判明
〜歯周病によるアルツハイマー型認知症への関与解明の新展開〜
認知症の最新情報
認知症という言葉は2004年に登場しました。ほんの15年ほど前のことです。ある福祉関係者は、「認知症について本を書けば、いまなら何を書いても売れるわよ」と言います。これは、困っている人をビジネスに利用しようということではありません。それだけ、この病気について、情報が求められているということなのです。
歯科医療と全身の病気
歯科医療は、認知症をはじめとする脳や全身の病気と大きく関係しています。近年、新しい研究成果が各国で続々と報告されています。正しい歯みがきや歯科定期検診で、重大な病気を予防できたり、症状の軽いうちに改善できることがたくさんあるのです。
2020.08.11
歯周病菌感染は全身の脳老人斑成分を脳内輸入させる~歯周病によるアルツハイマー型認知症関与を解明する新しい発見~(九州大学)
九州大学の研究グループは、歯周病原因菌であるジンジバリス菌(Pg菌)を全身に慢性投与することにより、正常な中年マウスの脳外で産生される脳老人斑成分であるアミロイドβ(Aβ)が脳内に取り込まれることを初めて発見しました。
Pg菌を3週間連続で投与すると、中年マウスの血液脳関門を構成する脳血管内皮細胞周囲の脳実質において、Aβ(アミロイドベータ)が増加し、記憶障害が誘発されることを突き止めました。
この研究は歯周病によるアルツハイマー病の新たな関与メカニズムを示しており、歯周病の予防ならびに治療によって、アルツハイマー病の発症と進行を遅らせることが大いに期待されます。
九州大学プレスリリース
https://www.kyushu-u.ac.jp/ja/researches/view/466
歯ごたえのあるものを積極的に食べる。柔な食べ物が歯周病を起こします。
精製された糖質が、悪性のネバネバした歯垢を形成します。具体的には、砂糖、白米のご飯、精製小麦粉から作られるめん類(らーめん、うどん、パスタ類)、パン。ジャガイモ、サツマイモ、カボチャなどを少なくして葉物野菜(キャベツ、白菜、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜など)を増やす。
1回5分以上、進行している人は15分、1日2回。歯と歯の間に毛先を突っ込んで細かく震わせるように磨く。