私は現在分子栄養学の勉強をしていますが、タンパク質について分かりやすくまとめられた記事がありましたので転載させていただきます。
以下引用始め
2023-01-04 09:17:55NEW !
テーマ:スタッフブログ
「国民生活基礎調査の概況」(厚生労働省・2019年)によると、介護が必要となった主な原因として、「骨折・転倒」「関節疾患」「脳血管疾患(脳卒中)」「認知症」が挙げられています。私たちが、健康で人生100年時代を全うするためには、「骨・関節」「血管」「脳」をいかに健やかに保つことができるかが、大きな鍵となります。
栄養素では、特にタンパク質の摂取が重要です。
骨のタンパク質はコラーゲンです。骨の体積の3/4を占めています。
骨粗鬆症の予防には、カルシウムを頭に浮かべる人が多いですが、骨の構造を考えれば、タンパク質が第一です。骨には「軟骨」と「硬骨」がありますが、どちらもコラーゲンを骨組みに、粘質多糖体が加わって出来上がっています。硬骨では、この基本構造にカルシウムなどのミネラルが沈着して石灰化組織になっています。粘質多糖体の形成にも良質タンパクが必要で、特に硫黄を含むアミノ酸(メチオニン、システイン)が必須です。
これらのアミノ酸を豊富に含む食品は卵です。卵はアミノ酸バランスに優れた食品の代表といえます。骨細胞には、破骨細胞(壊す専門)と骨芽細胞(作る専門)があり、それぞれが絶えず働き、異化と同化を営んでいます。タンパク質は常に使われているのです。
動脈や静脈の基本構造は、内膜・中膜・外膜の3層からなっています。3層はそれぞれが内皮細胞や平滑筋や結合組織の組み合わせによって構成されています。心臓から血液が押し出された時、大動脈の壁には、相当な圧力がかかります。血管壁はこの力に逆らわず自然に拡がり、血液の流入が止めば、弾力で元の太さに戻ります。
このような血管のしなやかさは、結合組織のエラスチンという弾力の大きいタンパク質の網目構造から生まれ、きっちりと三つ編みにされた強いコラーゲンによって守られています。結合組織の作り変えが遅くなることが弾力低下を招くと考えられており、血管壁で弾力低下が起こると「動脈硬化」ということになります。動脈硬化の予防にも、まずタンパク質の補給から、と理解すべきです。
脳は、意識や思考や感情を生みだす特別な器官ですが、生体の一部として、その基本的な成り立ちが他の器官と異なっている訳ではありません。同じように、細胞とそれが作り出すタンパク質の働きによって機能が担われています。
脳の働きの主役はニューロンと呼ばれる神経細胞です。ニューロンは複雑なネットワークを作って連絡を取り合い、情報を伝えるように作られた細胞です。
すべての細胞と同じくニューロンも、タンパク質を第一の栄養素としています。タンパク質は酵素タンパクとして、また、ブドウ糖などの運搬タンパクや、 ナトリウム・カリウムポンプのようにイオンを移動させるタンパク質として大活躍であるばかりでなく、各種の神経伝達物質の原料としてのアミノ酸を供給しています。
神経伝達物質の種類は多く、100種以上もあるといわれていますが、三つのグループ(アミノ酸系、アミン系、ペプチド系)に大きく分類されています。いずれもタンパク質の関連物質です。アミノ酸はタンパク質構成成分であり、ペプチドはアミノ酸をつないだ物質です。脳内のアミノ酸の濃度は、血中に比べてとても高いことが知られています。脳の機能を考える時、タンパク質の摂取は大変重要な条件といえます。
タンパク質は、英語ではプロテインといいます。プロテインという命名には、この物質が“何にもまして重要”という意味があります。血液、骨、筋肉、神経から皮膚や爪に至るまで、タンパク質でできていないものはありません。そのため、その不足は全身に悪影響を及ぼします。
生体の代謝を握る酵素が全てタンパク質であることも、見逃せない重要なポイントです。また、タンパク質は、抗体やインターフェロンなど、感染に対する自衛手段にも利用されます。タンパク質が欠乏すれば、細菌やウイルスに対して無防備になってしまいます。体を作り、機能を担う物質の全てを集合させたとき、最も多いのがタンパク質です。
タンパク質がなければ、体は動くことはおろか、形を保つこともできません。 タンパク質は、栄養を問題にするときに、最優先すべきものなのです。
以上引用終わり