
夏井先生は形成外科のお医者さんで、傷やヤケドを乾かさないで治す湿潤療法を広めるため「新しい創傷治療のホームページ」をほぼ毎日更新されています。
もう10年くらいになると思いますが、どういう経緯でこのホームページを訪れたかはもう記憶にありません。 夏井先生の著書「傷は絶対消毒するな」光文社発行、も購入して、湿潤療法を私の診療に取り入れました。
歯を打って、口の周りのけがをしてきた子供などにハイドロコロイドなどの湿潤治療剤を使うと2~3日で治ってしまいます。お母さんに大変喜んでもらっています。 口の中の傷は、唾液で湿潤状態にあるので、カサブタを作ることなく早く治ってしまいます。 皮膚の傷も乾かさないで湿潤状態を保つことで早く治ります。一番簡単な湿潤療法は、傷にたっぷりワセリンを塗りラップで覆う方法です。乾かしてカサブタを作って治す従来の方法だと1~2週間かかります。 夏井先生は湿潤療法の講演もなさっており、京都の高雄病院でも講演されました。講演が終わった後、今度は高雄病院の理事長・江部先生から糖質制限食で糖尿病を治していることを教わりました。 夏井先生は糖尿病があったので、早速糖質制限を実行され治癒しています。
この経緯から私は江部先生のホームページ「ドクター江部の糖尿病徒然日記」も見るようになりました。 7~8年前ごろ、少しずつ太ってきてズボンがきつくなっては買い替えたりしていました。食べる量は同じで、週2~3回はテニスで汗を流していたにもかかわらずです。
そこで思い切って江部先生の本を何冊か買ってきて読みました。納得がいきました。しかし、料理を作るのは私ではなくカミさんです。その中の1冊をカミさんに渡して「納得出来たら糖質制限食を作ってくれないか?」と頼んだところ献立の本を買ってきて作ってくれるようになりました。
というわけで我が家は中程度の糖質制限食を食べています。 私は糖尿病ではなく肥満解消が糖質制限の目的でした。 体重は8kg減少、2サイズ太くなったズボンは1サイズ細くなりました。ただし、この年になると、お腹周りは簡単に細くはなりませんね。 なぜ中年になったら中年太りになるのかも理解できました。
基礎代謝量(じっとして動かないときに内臓や脳みそを働かせ、体温を保つために熱を作る)は若い時に比べて減少します。また運動量も減ってきます。買い物は近距離でも車に乗ります。それなのに食べる量は減るどころか美味しいものを食べすぎる。 糖質、タンパク質、脂質のうちタンパク質と脂質は体の構成要素とエネルギー源ですが(タンパク質は骨格筋、内臓の主要構成要素、脂質は脳みその主要構成要素)、糖質は主にエネルギー源です。余った糖質はインシュリンと言うホルモンによって脂肪に変えられ太るのです。
皆さん、脂質を食べたから太るのではありません。脂っこいものを食べたから太るのではありません。脂質は食べすぎると排泄されます。 糖質は余った時、ゴミ屋敷のように大事に脂肪に変換されて皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられるのです。 ただし、糖質制限食がすべての人に適しているわけではありません。たとえば、痩せの大食いのように食事効率の悪い人がいる一方で、少し食べただけで太る食事効率のいい人もいます。
また、中年になっても体形が変わらない健康な人などは必要ないでしょう。 私が糖質制限して変わったこと
●体重が8kg減少
●ズボンが1サイズ細くなった
●低血糖症状がなくなった(以前は夕方5時ごろになると強烈な空腹感が現れ、我慢していると指が細かく震えることもあった。その時はチョコレートを食べて空腹感をいやした。)
●空腹感が少なくなった(お母さん、おなかが減った、なんかない?と言うことがなくなった。何だったら1食ぐらい抜いて断食してもいい感じ) 糖質をたくさん食べると血糖値が急上昇します。すると、インシュリンと言うホルモンがしゃしゃり出て、これは一大事とばかり血糖値を急降下させます。これが空腹感になり、強く出ると低血糖症状になります。糖尿病の患者さんで薬が効きすぎて低血糖になると、気分不良、悪くすると意識障害で命が危なくなります。
以下に新しい創傷治療のホームページから転載します
子供の糖質制限の一例(2020年3月4日掲載) 【児童館が休みなので遊べるところがありません】
昨日,ある女性が皮膚科疾患で当院を受診されました。お子さん二人(当院の常連患者さんで,当院のことを[おもちゃで遊べる病院]と認識している幼い兄妹)を連れての受診です。聞くと,児童館がどこも閉鎖されていて,子どもが遊べるところがなくて大変です,ということでした。
そこで,「キッズスペースで遊んでいっていいですよ」と提案。30分くらい,遊んでから帰られました。他の患者さんには事情を説明しましたが,「うちの孫より静かよ」と言ってくださいました。 この兄妹,以前は待合室で走り回ったり騒いだりしていたのですが,今回は大騒ぎをしません。
お母さんに聞いてみたところ,「食事を糖質制限にして,ご飯を食べず,お肉と魚を食べさせるようになってから,騒がなくなって,一つのおもちゃで集中して遊ぶようになったの」とのことでした。また,兄妹の妹さんは,昨年の冬はダウンコートを着ていたのに,この冬はコートを着せると「暑い」と脱いでしまうため,ずっと半袖シャツ姿だったそうです。「これも糖質制限の効果でしょうか」とお母さんは話されていました。