私が神奈川県相模原市の六地蔵歯科医院(同窓生3家族の共同経営、歯科医師4名)を辞職して、郷里福山に帰って、いなだ歯科医院を開業して32年目になりました。
新規開業にあたって、どのような診療所にするか考えました。治療に関しては、歯列矯正以外をオールラウンドにこなす。その為、東京医科歯科大学同窓会の研修会で勉強し直しました。
また、その当時はまだ珍しかった感染対策を徹底することにしました。当時の一般的な歯科医院の感染対策は、グローブはしない、切削器具は簡易消毒で次の患者さんに使う、ウイルス性疾患の患者さんも一般の患者さんと同じレベルの消毒、消毒液や注射針、注射液を使いまわすところもありました。
開業にあたって、必ず、将来的に感染対策の徹底が必要になるであろうと思っていましたので、感染対策の本を読み、感染対策を徹底している友人の歯科医院を見学して勉強しました。
スタッフには清潔と不潔の区別を徹底し、グローブは全員着用、患者さん毎に交換。歯を削る機械類は一人の患者さんに使ったら簡易消毒ではなく必ず滅菌して、次の患者さんには必ず滅菌済みのものを使うことにしました。そのために、機械類はたくさん本数揃えなければならず資金的に大変でした。
※滅菌とは細菌とウイルスを完全に無くすことです。使用機械は高圧蒸気滅菌機です。その他、病原菌を殺菌する機械には、ガス殺菌器、紫外線殺菌器を使用しています。
このような感染対策は、当時は大変珍しかったので、他の大学同窓会に呼ばれて講演したこともあります。現在の新型コロナウイルス感染症(武漢肺炎コロナウイルス)感染対策は以下の通りです。
1.消毒
患者さんが歩くあるいは手が触れる場所、玄関まわり、トイレ、スリッパ、待合室、治療台、レントゲン室は抗菌・抗ウイルス剤イータックを使って消毒しています。
※抗菌・抗ウイルス剤イータックは一度消毒すると8日間効果が持続します。月曜日に消毒すれば土曜日まで1週間消毒効果が続きます。イータックは私の母校である広島大学歯学部の二川教授が開発しました。
2.グローブ
歯科医師、歯科衛生士は全員グローブを装着、患者さん一人ずつ交換する。一度使ったグローブは捨てる。現在でも、素手で治療している歯科医院がありますがその場合、術者から患者さん、患者さんから術者へと感染する危険性が高まります。
3.切削器具の滅菌
患者さんの口の中に入るものは消毒と滅菌を徹底します。特に切削器具は高価なので一般的には揃える本数が少なく簡易消毒が一般的でしたが、当院では本数多くそろえて一患者ごとに滅菌することにしています。
4.使い捨て(ディスポーザブル)製品を使用する。
たとえば、口の中の写真を撮って患者さんへの説明に使いますが、その時使う口腔内カメラには透明保護袋を装着して、終わったら保護袋は捨てます。
いなだ歯科医院では上記のような感染対策を取っておりますので、どうぞ安心して受診してください。よろしくお願いいたします。