
高校卒業するまでは、歯磨きは気が向いたとき週1回ぐらいで歯磨き剤は粉でした。
小学校の時は、時々、顔を洗ってきたか?歯磨きしてきたか?を校門で先輩や先生が検査する日があり、その時は歯磨きしていたような記憶があります。
私は高校卒業するまでむし歯はありませんでした。歯科検診でいつも歯医者さんから「上7から7、下7から7まで、よろしい」で終わり、友達にはうらやましがられていました。
どうして虫歯にならなかったのかを分析すると、ご飯は朝昼晩の3回で、おやつを食べる時間を惜しんで遊んでいたのでおやつはあまり食べませんでした。
一番虫歯になる原因は砂糖を食べることです。3食の食事で使われる砂糖の量は約5グラムだと言われています。おやつで取る砂糖は飲み物を含めると何十グラムにもなります。例えば、朝食を食べると歯は表面が少し溶けます。次の昼食まで砂糖が入ってこないと歯の表面は再石灰化により元に戻ります。朝食と昼食の間に砂糖の入った飲み物やおやつを食べると再石灰化は中止され、さらに歯は溶けて昼食までに修復されないのです。これを何日か繰り返すと虫歯が出来ます。
教訓:おやつを食べなければ、又は砂糖を含まないおやつであれば、私のように歯磨きがへたくそでも週1歯磨きでも虫歯になりません。砂糖を使ったお菓子が溢れている現在、甘いおやつを食べないのは大変かもしれません。
私の大学生活は寮生活で始まりました。同期の学生たちが洗面所で毎日歯磨きをしています。つられて私も毎日歯磨きをするようになりました。歯磨き粉を付けて1分ほど磨いてうがいをして終了です。
磨き方は自己流です。歯磨き粉がきっとむし歯を防いでくれると信じていました。また、自分の歯は丈夫だからむし歯にはならないとも思っていました。
しかし残念ながら、おやつにお菓子を食べるようになっていたのでとうとう虫歯になってしまいました。
このころ、私はアルバイトをよくしていて給料が入ると、広島の千田町にある「浅野42万石」と言うお菓子屋さんでシュークリームを10個買って、ピーチネクターを買って、一度に食べて飲んでいました。
教訓:おやつにお菓子を食べているといくら歯磨きをしてもむし歯になります。
歯学部の専門課程に入って歯磨き実習がありました。始まる前は、みんな「この実習は要らんだろ」などと言っていましたが、終わった時にはいい実習だったねと、みんなで感激ひとしおでした。
むし歯になりやすい部位は奥歯の噛む面にある溝、歯の生え際、歯と歯の間です。この部位の60%が磨けていれば合格と言う実習でした。誰も合格点に達しなかったし、私は最低点の19点でした。クラスの半分は歯医者の子供でしたが駄目でした。ちなみに私の親族に歯医者はいませんでした。
それから磨き方や、虫歯になる理由、歯磨き剤の話、虫歯予防の話など、実に奥深い実習となりました。この実習以降ていねいな歯磨きを心がけることになりました。
教訓:歯磨きの仕方について歯医者で教えてもらってください。自己流では虫歯予防が出来ません。
昭和58年だったと思いますが歯周病の大家である歯科医師・片山恒夫先生が朝日新聞の日曜版に歯周病を治す記事をシリーズで掲載しました。この記事は大変な反響を呼んだそうです。私も切り抜いて保管しました。
なにしろ、歯磨き剤は使うな、使うと歯周病の治りが悪いなどと言うのです。
歯科の専門雑誌を読んでいた時、片山セミナーが開催されていること知り、すぐ電話を掛けました。
紹介者がいないと受け付けられないと言われましたが、私の熱意が通じたのか?それではおいで下さいと受講することが出来ました。1回のセミナーは1泊2日を2回の計4日間です。結局4回セミナーに通ったので合計16日受講しました。考え方、理論、治療方法などを教えていただき、私の歯科人生で最も尊敬できる先生です。
この頃から、歯磨き剤はほとんど使わなくなりました。磨く場所も洗面所から居間の食卓に代わり、今ではパソコンの前で、朝15~30分のながら磨きをしています。
片山先生が歯磨き剤を使わないように指導する理由。
実は歯磨き剤には歯垢を落とす力はありません。初めから使うと香料が入っていて爽快感があるので、それだけで歯がきれいになった感覚があります。その為本当に磨かないといけない部分がおろそかになるのです。
現在の私の歯磨き方法
朝食の後1日1回。15~30分のながら磨き。歯垢が成熟するのに24時間かかると言われています。使用するものは、ブラシと歯間ブラシです。糸ようじ(フロス)は時々使います。歯磨き剤は使いません。
歯磨きする場所は、パソコンの前又はテレビの前です。洗面所にはいきません。
磨き方は、上の奥歯外側から順に少しずつ、気を付けるのは歯と歯の間を意識して小刻みに動かしていきます。上の外側が終わったら、下の外側、次に下の内側、最後に上の内側を磨いて終わります。
毎回この順序で磨きます。読者の皆さんも独自に決めていただき、毎回同じ順序で磨くと磨き残しが無くなります。
ブラシだけで磨くので口中泡だらけになることはありませんが、唾液が出てきますので歯垢ごと飲み込みます。不潔な感じがするかもしれませんが胃液で殺菌されるので問題ありません。気になる方はうがいをしてください。歯磨き剤を使わないので少し歯に茶渋などが付きます。気になるようでしたら最後に歯磨き剤を使ってもいいです。
すべて磨いたら、ちゃんと磨けたかどうかの確認です。これには舌触りを使います。
きれいに磨けていると舌触りはツルっとしています。ヌルっとしたりザラッとした舌触りではまだまだきれいではありません。その部分はもう一度磨きます。
舌が届かない部分は爪楊枝などでこすってみます。本当は染色剤で歯垢を染めるのが一番です。磨き方は自己流になってしまうので歯医者さんで教えてもらってください。
歯医者になってから甘いお菓子を食べることが減りました。患者さんへの説得力が無くなると思ったからです。おやつ自体食べなくなりましたし、砂糖の入った甘いお菓子はほとんど食べません。
教訓:ながら磨きでむし歯も歯周病も予防できます。ながら磨きを習慣にしましょう。
私が推奨する歯磨き方法
毎食後3回ながら磨き、特に夕食後または寝る前に特に時間をかけて下さい。寝ている間は唾液が少なくなりむし歯の危険性が高くなります。
――こんな時間を利用してみましょう――
◎「ながら磨き」には、歯みがき剤は使いません。
◎歯垢は毛先が当たって振動することでしか取れません
◎歯磨剤に歯垢を落とす力はありません。ブラシを丁寧に動かして 舌でさわってツルツルになったら完了です。
◎その後に歯みがき剤を使うと効果があります。
◎この習慣をつけるかどうかで、一生自分の歯で噛みつづけられるかが決まります。
壁に貼って「ながら磨き」が習慣になるようにお勧めします。「ながら磨き」はあなたの歯を守ります。