我々が常識だと思って信じていた栄養学ですが、最近になって間違っていたことがたくさん判ってきました。
私は若いころからバターが好きでした。
マーガリンのほうが体によいと言われていましたが、工業製品のイメージがあり、買うときは酪農製品のバターを買っていました。
動物性の油より植物性の油のほうが健康に良いと言うことで、食品業界ではバターを敬遠してマーガリンを使うことが多かったのですが、2013年アメリカの米食品医薬品局(FDA)は7日、マーガリンなどの加工食品に含まれるトランス脂肪酸の規制に乗り出す方針を明らかにしました。
心臓病の原因になると指摘されており、「安全ではない」と判断しました。
・デンマークでは毒物扱いで販売禁止。
・ドイツでは難病との因果関係が証明されている。
・ニューヨーク市は2006年12月、外食産業で原則使用禁止。
マーガリンよりバターを使いましょう
脂質の代表ともいえるコレステロール。
よく悪者扱いされますが、本当は生命維持に必要不可欠な物質です。
男性ホルモン、女性ホルモン、ビタミンDなどといった人体に不可欠な物質はすべてコレステロールから合成されます。体内では脳内に最も多く存在し、脳神経系の正常な働きにも欠かせません。
しかし貯蔵することができないので、2割を食事からの摂取、8割を肝臓で作ってまかなっています。
健康な人(家族性脂質異常症を除く)は、摂取量に応じて合成量が自然に増減され、数値は一定に保たれます。したがって、肉や卵を食べるとコレステロール値が上昇するとの説は正しくありません。
これはコレステロール薬を服用中の人に「卵や脂肪の摂取を減らしたら、数値が下がって内服不要になった」というケースがほとんどないことが証明しています。
脂質は必須栄養素ですから、不足すれば健康を害します。
日本脂質栄養学会がさまざまな油をラットに与えた研究結果では、寿命を伸ばした安全な油脂はラードとバターで、逆に寿命を短縮した油脂として多くの植物油(キャノーラ油、菜種油など)が挙げられていました。ブームになったリノール酸は、過剰に摂取するとアトピーや喘息(ぜんそく)を悪化させるといわれています。
また、マーガリンなどに含まれるトランス脂肪酸も危険性が指摘されており、欧米では使用が厳しく制限されている国もあるほどです。私はマーガリンよりバター、つまり植物性より動物性の油を推奨しています。
中でも安全かつ健康的なのはラード。おいしさが増し満腹感も十分で、ダイエットや美肌にも有効です。豚肉を余すところなく食べ、料理にラード(アンダガシ)を使う沖縄豚肉料理の伝統こそが、日本一の長寿を支えてきたのです。
(渡辺信幸、こくらクリニック院長)
「動脈硬化の原因はコレステロール」とする主張は、「動脈硬化の血管を調べたら、患部にコレステロールがたまっていた」という研究に基づいているのでしょうが、それが発表されてから、もう100年ほど経っているのです。
今日では、そうした現象は血管に出来た傷を修復するためにコレステロールが集まったという、あくまでも「結果」であって、動脈硬化そのものの「原因」ではないことが明らかになっています。
アメリカに続き日本の厚労省が古い根拠を否定し、基準を撤廃しました。
加えて、近年では「コレステロール値が高い人の方が長生き」という研究も世界的に肯定されるようになっています。
「卵は1日何個食べてもよい」が最新常識です。