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今週のお知らせ 産後にイライラして夫に当たる女性 妻が阿修羅になるか菩薩になるかは鉄次第

今週のお知らせは、分子栄養学を駆使して診療している藤川徳美先生の症例報告です。

藤川先生は自身の体調不良をきっかけに「糖質制限」(高タンパク低糖質食)で健康になり、栄養の大切さを痛感、その後分子栄養学やオーソモレキュラー栄養学を勉強しました。廿日市市で心療内科を開業、精神疾患をはじめ内科的疾患も治療しています。書籍も「うつ・パニックは鉄不足が原因だった」「すべての不調は自分で治せる」を初め、わかりやすい本を多数出版しています。またブログ「精神科医こてつ名誉院長のブログ」をほぼ毎日更新され症例報告を掲載しています。

以下引用始め

NEW!2024-03-28 07:27:26

テーマ:

鉄・貯蔵鉄・フェリチン

産後にイライラして夫に当たる女性

30代後半、女性。R5.2に第2子を出産。イライラして夫に当たるようになった。助産師さんに”貧血では”と言われ、R5.8当院受診。夫の言動全てに腹が立つ。イライラして当たってしまう。まだ母乳を続けており、生理は止まっている。→プロテイン*2+高タンパク/低糖質食。Nowアイアン36、ナイアシンアミド、C1000開始。

一週後再診、初診時のBUN17.7、フェリチン11。プロテイン15g*2、ナイアシンアミド*3飲めている。→フェロミア2T処方。

R5.11。プロテイン*2、ナイアシンアミド*6。イライラがなくなり、夫に当たらなくなった。

R5.12、かなり体が元気になり、動けるようになぅた。BUN18.9、フェリチン75。

R6.1、体調はとても良い。子供も鉄タンパク不足なので、プロテインと鉄サプリを飲ませるよう伝えた。

R6.3、体が楽になり、イライラは全くない。元気になったので、4月から6時間の仕事に出ることになった。母乳を続けており、まだ生理は来ていない。

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最もよくある典型的な症例。1回の妊娠出産でフェリチン50程度低下し、産後には鉄タンパク不足になる。すなわち、産後は殆どの女性がこうなる。

そうなると、イライラして夫に当たるようになる。

  • 何を言っても何をしても腹が立つ
  • 足音にも腹が立つ
  • 息をしているのにも腹が立つ
  • 死んでくれたら良いのに

フェリチンの目標値は150.

150になったらフェルムを隔日服用に減量する。鉄を中止すると1年後にフェリチンが大幅に下がってしまう。*女性はフェリチン10以下だと阿修羅になるが、100以上になると菩薩になる。

以上引用終わり

今週の症例 歯石付着と歯肉炎を短期間で治した10代の女性

症例 10代 女性

初診時

下顎前歯舌側にたくさんの歯石が付着して、歯肉はプックリむくんで少し赤黒い色をしています。この部分は唾液が良く出る所で、大変歯石が付きやすいです。

また、最近は食事がどんどん柔らかくなり歯垢が付きやすく、歯ブラシが届いていなければ歯垢はカチカチの歯石となって、歯肉炎、歯周炎を起こします。

最近テレビで見たグルメ番組「ゴチ」ではご馳走を食べた3人が第一声「柔らかい」でした。そのうちの二人は「歯が要らない」と言いました。柔らかくなった食事を硬くて歯ごたえのあるものに戻すのは非常に難しいことです。

益々歯ブラシの使い方が重要になってきました。電子紙芝居でどうして歯肉炎・歯周炎が起きるのか?どうすれば予防できるのかを説明して、歯石を除去、歯磨き方法を教えてあげました。

4ヶ月後

歯石は全くついておらず、プックリもっこりの歯肉は、引き締まってピンク色です。患者さんに聞くと、歯磨き粉は付けて2分ぐらい磨く、磨く位置に気を付けるのだそうです。1回教えただけでここまできれいに磨ける人は少ないです。素晴らしい。ブラーボ―。

歯をきれいに磨くコツ

  • 初めは歯ブラシだけで、磨く位置を意識して磨く
  • 磨けたと思ったら舌先で確認する。磨けていれば歯はツルっとしています。1本1本の歯がくっきり確認できれば磨けています。ヌルヌル、ザラザラしていたらまだきれいに磨けていません。舌先で確認できない部分は爪楊枝などでこすってみます。歯垢が付かなければ磨けています。
  • 棒を握るように持つと力が入り過ぎて歯肉が下がるような場合はペングリップにすると丁度いい力加減になります。
  • 動かす長さはごしごしと大きく動かすのではなく、コチョコチョと動かして歯間部三角歯肉を意識して磨きます。
  • 自分の部屋やお風呂の湯船につかっての「ながら磨き」が効果的です。
  • 歯磨き剤は歯ブラシできれいになった後、お好みのものを少しだけ使ってください。
  • にがり液(塩化マグネシウム)を使って磨くと歯石が付きにくいです。にがり液(あらなみの本にがり)はハローズの食塩売り場で購入できます。

今週のお知らせ 糖質制限食と動脈硬化。イヌイットはスーパー糖質制限食だった。

今週のお知らせは、京都高雄病院の江部康二先生のブログ「糖尿病徒然日記」からです。

江部先生のことを知ったのはもう10年以上前になります。そのころ太り始めて江部先生の「糖質制限」(高タンパク低糖質食)に出会い、8kg減量することが出来、昔のズボンがまたはけるようになりました。もし江部先生のことを知らなかったら今ごろ糖尿病になっていたと思います。お陰でずっと健康で歯医者を続けられています。

3大栄養素は、糖質、タンパク質、脂質です。糖質はほとんどがエネルギー源です。タンパク質は筋肉、内臓、骨、髪、爪などの重要な構成要素です。エネルギー源にもなります。脂質は脳みそ、細胞膜などの人体の重要な構成要素です。エネルギー源にもなります。

糖質は活動量が減少すると余ってインシュリンと言うホルモンによって脂肪に替えられて太ってしまいます。タンパク質は余るほど食べている人はほとんどいなくて、足りない人の方が圧倒的に多いです。脂質は余った分は便となって排出されます。

結局、太るのは糖質と言うことになります。

「糖質制限」(高タンパク低糖質食)は、糖質が多い主食(ごはん、パン、めん類、イモ類など)を減らして、タンパク質中心のおかずを増やす、食事の総量を減らさないようにする食事法です。

以下引用始め

2022年11月28日 (月)

こんばんは。

糖質制限食は、必然的に高脂質・高タンパク食となりますが、血管壁に与える影響は大丈夫なのでしょうか?動脈硬化にはならないのでしょうか?

現実に、日本の医学界では、いまだに高脂質食が動脈硬化の元凶とする意見が大勢を占めています。今回の記事は、イヌイットの食生活の歴史から糖質制限食と血管・動脈硬化について考察してみます。

4000年前、すでにカナダ極北やアラスカに、人類(モンゴロイド)が移住し居住していました。現在のイヌイット文化と同様の生活様式をしていたとは、必ずしも言えませんが、セイウチ猟など狩猟や漁労を主な生業としていたようです。

現在のイヌイットの生活様式の原型ですが、まず10世紀ごろ、アラスカイヌイットでホッキョククジラが主食の時代が始まりました。その後200~300年間で、他の極北周囲地域、西はシベリア北東端のチュコト半島、東はグリーンランドまでホッキョククジラ猟が広まりました。この文化は、「チューレ文化」と呼ばれています。

その後、12世紀から17世紀にかけて極北地域に寒冷化が起こり、それまで豊富だったクジラが少なくなりました。そのためクジラ以外のものを主食とせざるを得なくなり、各地域でチューレ文化は多様化して、独自の文化が形成されていきました。

イヌイットと言えば誰でもイメージするような、アザラシ猟をして雪の家に住むという文化は、
15世紀ごろに形成された生活様式です。ホッキョクイワナ、アザラシ、シロイルカ、カリブーといった食材がイヌイットの主食となっていきました。このころは、穀物など一切なしの究極の「スーパー糖質制限食」です。そして1900年代初頭までは、この伝統的食生活、つまりスーパー糖質制限食が保たれていました。

ダイアベルグ博士らの試算では、伝統的食生活の頃(1855年)のイヌイットは3202kcal/日摂取で比率は ・蛋白質:377g(47.1%)・炭水化物:59g(7.4%)・脂質:162g(45.5%) と、炭水化物摂取比率がわずか7.4%で、まさにスーパー糖質制限食でした。この頃は、心筋梗塞も脳梗塞もがんも糖尿病もほぼ皆無です。

約120年後の、1976年のダイアベルグ博士らの調査では、各栄養素の摂取比率(イヌイット/ デンマーク人)は、

・蛋白質:  イヌイット23% /デンマーク人 11%
・脂質:   
イヌイット39% /デンマーク人 42%
・炭水化物:
イヌイット38% /デンマーク人 47% 

で、小麦があるていどイヌイット社会に浸透した結果、炭水化物摂取比率38%と緩やかな糖質制限食に変化しています。それでも心筋梗塞や脳梗塞が極めて少なかったことが報告されています。
すなわち、動脈硬化が少なかったということです。

同時期、同じくらいの高脂肪食を食べていたデンマーク人においては、心筋梗塞や脳梗塞が多発していたので、その差が注目されました。脂質の摂取比率は、両者同じくらいですが、デンマーク人は、高糖質・低タンパク食であり、そこが、動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞発症に繋がったと考えられます。

このようにイヌイットの食生活でも明らかなように、糖質制限食により、動脈硬化が予防できる可能性が高いのです。

今まで西洋医学でEBMとして、動脈硬化のリスク要因といわれていた因子が、全て糖質制限食で改善します。

HDL-C、LDL-C、TG(中性脂肪)、血糖値、HbA1c・・・

従いまして、高脂質・高タンパク・低糖質食で血管が脆くなるどころか丈夫になると考えられます。このように、西洋医学のEBMが正しいならば、糖質制限食実践による血管壁への影響は、好ましいもの以外は考えられません。

なお米国糖尿病学会は、2019年4月のコンセンサス・レポート「糖質制限食は、2型糖尿病で最も研究されてきたパターンである。」と明言し、食事療法として一推しで推奨しています。2020年、2021年、2022年のガイドラインでも同様の見解です。

江部康二

以上引用終わり

今週の症例 上顎前歯の根尖病巣の治癒

根管治療は歯科治療の中でも大変難しい治療のひとつです。神経を使う細かい仕事で、時間もかかりますがその割に診療報酬が低く、はっきり言って赤字の治療です。その為、早く精密に正確に治療出来るように何度も卒後勉強会に参加しました。今では得意分野になりましたが、本音は出来れば避けて通りたいところです。

以下は当院でお渡ししているパンフレットです。

上の前歯真ん中から2本目の歯、歯根の周りが黒くなっている部分が根尖病巣です。骨が溶けて細菌の巣窟になっています。

右レントゲン:根管治療が終わりました。根管に防腐剤が白く写っています。根尖病巣はまだあります。(矢印の下の部分の黒い部分です)

左レントゲン:根管治療終了から6年後です。根管の周りの黒い影がなくなって治癒しています。

今週のお知らせ 「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり。

私が江部先生のホームページ「糖尿病徒然日記」にたどりついたのは12~3年前のことです。

テニスの練習を週3回こなし、シングルス・ダブルスの試合にも結構出ていました。食事もほとんど変わることがないのに、体重が増えて太る一方でした。そんな時に知ったのが江部先生の「糖質制限」でした。本も何冊も読みました。理論的にも正しいと思いました。基礎代謝量(何もしなくても、心臓などの臓器は働いてくれているので、そのエネルギー量のことです)は若いころに比べて年取ると減少するそうです。余った糖質はインシュリンと言うホルモンによって脂肪に替えられ蓄えられるのです。つまり太るのです。脂っこいものを食べたらどうなるのでしょうか?実は余った脂質は便となって排出されます。と言うことは、太る原因は余った糖質だったのです。これにはびっくりしました。

「糖質制限」を簡単に説明しますと、高タンパク低糖質食です。糖質の多いもの(白米のご飯、パン、めん類、イモ類など)を減らして、タンパク質(肉、魚介、卵、ちーずなど)を増やすメニューとなります。食事の全体量は減らさないようにします。何ならタンパク質をもっと増やして食事の全体量を増やしても構いません。

一番やってはいけないことは、糖質だけ減らして食事の全体量が減ってしまうことです。エネルギー不足になり体調不良になります。

うちのカミさんに本を読んでもらったら、献立を変えてくれました。おかげで8kg落とせて、ズボン買い替えの危機も去り、昔のズボンもはけました。

食事でとる糖質、タンパク質、脂質のうち、1番大事な栄養素はタンパク質です。筋肉、内臓、爪、髪、骨、神経伝達物質、ホルモンなど必要不可欠です。2番目に大事な栄養素は脂質です。脳みそや細胞膜に必須です。糖質はごく少量で、仮に摂らなくても肝臓で作ってくれるので理論的には摂らなくてもいい栄養素です。

以下引用始め

「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり。

2023年12月11日 (月)

こんにちは。以前京大医学部の同窓会で、「一番なりたくない病気は何?」という話題になったのですが、ダントツで一位は認知症でした。ほぼ全員一致でした。

さて少し前になりますが、医療関係者用のサイトCarenetで「『炭水化物』中心の食生活は認知症リスクを高める可能性あり」という論文が紹介されていました。

www.carenet.com/news/risk/carenet/30280

以下、一部を抜粋引用します。

////////////////引用ここから//////////////////

食生活は生活習慣病の発症に関与するだけでなく、認知症の発症にも影響を及ぼすといわれている。では、どのような食生活が認知症リスクを高めるのか。

Roberts氏らはカロリー摂取と認知症との関係を検討した。J Alzheimers Dis誌オンライン版2012年7月17日号の報告。Roberts RO, et al. J Alzheimers Dis. 2012 Jul 17.

高齢者(年齢中央値:79.5歳)を対象とした集団ベースの前向きコホート研究により、毎日の総カロリーにおける主要な栄養素の割合と軽度認知障害(MCI)または認知症の発症との関係を調査した。追跡期間の中央値は3.7年。

(中略)

主な結果は以下のとおり。

・試験開始前に認知機能が正常であった937名のうち、200名はMCIまたは認知症であると診断された。

・MCIまたは認知症のリスクは、炭水化物の摂取比率が高い方で上昇し、脂質の摂取比率が高い方やタンパク質の摂取比率が高い方では減少した。

・炭水化物からのカロリー摂取比率が高く、脂質およびタンパク質からの摂取率が低い高齢者では、MCIまたは認知症の発症リスクが増加する可能性が示唆された。

////////////////引用ここまで//////////////////

試験開始前に認知機能が正常であった937名のうち、200名が、軽度認知障害(MCI)または認知症であると診断されました。軽度認知障害は、MCI(Mild Cognitive Impairment)と言われています。

そしてMCIは、認知症そのものではありません。しかし健常な状態でもありません。軽度認知障害または認知症のリスクは、炭水化物の摂取比率が高いと上昇し、脂質の摂取比率、タンパク質の摂取比率が高いと減少しました。

「炭水化物」中心の食生活は認知症リスクを高める可能性があるということですね。

「肉・卵・牛乳・油脂類をよく食べるグループ」は、『ご飯・味噌汁・漬け物をよく食べるグループ』『植物性食品をよく食べるグループ』に比べて、「知的能動性」が低下せずに保たれるという日本の報告もあります。(*)

知的能動性とは「探索」「創作」「余暇活動」などの知的活動能力です。知的能動性が低下していけば認知症コースまっしぐらです。

すなわち、ご飯・味噌汁・漬け物の炭水化物たっぷりパターンだと認知症になりやすいけれど、動物蛋白や油脂をしっかり食べるパターンは認知症になりにくいということで、J Alzheimers Dis誌の報告と同じ結論です。

また、有名な久山町研究でも、第22回日本疫学会学術総会2012年1月26〜28日 で、認知症リスクの低い食事パターンとして、『・・・1回の食事において「大豆製品と豆腐」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「藻類」「牛乳・乳製品」の摂取量が多く,「米」の摂取量が少ない食事パターンは,認知症発症のリスクを有意に低下させることが示された。・・・』と報告されました。

www.epi-c.jp/entry/e800_0_jea2012.html#5th

認知症のリスクを低下させるという【1回の食事において「大豆製品と豆腐」「緑黄色野菜」「淡色野菜」「藻類」「牛乳・乳製品」の摂取量が多く、「米」の摂取量が少ない食事パターン】に、魚貝類と肉類を加えたら、そのまま糖質制限食です。

ご飯など、炭水化物摂取の認知症リスク、恐るべしですね。ブログ読者の皆さん、是非「糖質制限食」を実践されて認知症など生活習慣病を予防し、健康長寿を目指して頂ければ幸いです。

(*)熊谷修ほか 「老年社会科学」1995;16:146-155.

江部康二

以上引用終わり

今週の症例 ミラクルデンチャー 右上4左上4567欠損

70代、男性

歯周病で歯が無くなってきました。作製用模型とミラクルデンチャー

ミラクルデンチャーを装着します。

初めに合わせる部位をキーと言います。この症例では左上3番がキーです。

最後に合わせる部位をロックと言います。右上6番がロックです。

ロックを合わせました。

ピッタリ装着できました。ミラクルデンチャーは残っている歯と一体化するように設計され、残っている歯も長持ちします。

正面観。入れ歯とは判りません。

今週のお知らせ 糖質制限食とこむら返りについての考察

私は小さいころから、よくこむら返り(ふくらはぎの痙攣)を起こしていました。水泳をやっていた時もよく足がつりました。テニスの試合では3回戦で足がつり始め2日目のベスト8に届きませんでした。試合のあった夜中になると、足がつって激痛で飛び起きてはストレッチをしました。

調べてみるとマグネシウムが不足するとつりやすいことがわかりました。最近は、マグネシウムのカプセルを飲んで、テニスを頑張った時など怪しい時はふくらはぎにニガリ(塩化マグネシウム)液をすり込んでほとんどつることは無くなりました。マグネシウムは300種類以上の酵素反応に関与しています。ATPを生産する代謝において鉄と同様に大きな役割を果たしています。

マグネシウム欠乏による症状

  • 不安神経症、パニック障害、うつ病
  • 片頭痛、疼痛
  • 肩関節石灰沈着症(肩や腕の痛み)腰痛、ぎっくり腰
  • 高血圧、脳卒中、頭部外傷や脳外科手術のダメージ
  • 高コレステロール血症
  • 肥満、メタボリック症候群、糖尿病
  • PMS(月経前症候群)、月経困難症、他嚢胞性卵巣症候群
  • 不妊症、子癇
  • 脳性まひ
  • 骨粗しょう症
  • 腎臓結石(カルシウム結石)
  • 気管支喘息
  • パーキンソン病
  • アルツハイマー病
  • 慢性疲労症候群、線維筋痛症
  • 化学物質過敏症
  • ガン

以下に江部康二先生の「糖尿病徒然日記」から転載させていただきます。

以下引用始め

糖質制限食とこむら返りについての考察。

2023年12月13日 (水)

おはようございます。

私は、週一回、テニスをしています。
日曜日に、朝11時~12時40分くらいまで練習をしてそのあとダブルスの試合を3~4試合して帰宅します。家に着いたら、16時くらいです。幸い、こむら返りは、ほとんど経験したことがありません。一方、糖質制限食を開始したら、こむら返りが起きやすくなったという人がたまにおられます。

今回は、糖質制限食とこむら返りについて考えて見ようと思います。腓(こむら)というのは「ふくらはぎ」のことです。こむら返りというのはふくらはぎに生じる筋肉の痙攣(けいれん)のことで、かなりの痛みを伴います。頻度が多いのがふくらはぎの筋肉の痙攣なのですが、基本的にはどこの筋肉にも起こりえます。

こむら返りの発生メカニズムについては、いろんな仮説がありますが、明確にはわかっていないようです。判っていることとしては、大ざっぱに言えば、筋肉の収縮においてはカルシウムが重要な役割を果たしていて、マグネシウムは筋肉を弛緩させる役割であるということです。

カルシウムやマグネシウム、ナトリウムやカリウムなどが、ほどよく協力して、筋肉の収縮の調整をしてくれているのだと思います。そして、冷えや運動や脱水があって、相対的に血流が不足するとこむら返りを起こしやすいことも判っています。

私自身は糖質制限食開始後、全くこむら返りを起こしませんでした。また当初、糖質制限食実践中の患者さんにおいても、こむら返りの訴えはあまりなかったので気にしていませんでした。しかし、その後、糖質制限食実践中に、こむら返りが生じる人がたまにおられることが、ブログのコメントなどで判明しました。また、高雄病院や江部診療所の糖質制限食実践中の患者さんでも、その後まれではありますが、糖質制限後こむら返りを生じる方がおられました。

確かに野菜・海藻・茸も摂らない極端な糖質制限食だと、カルシウムなどミネラル不足などで、
こむらがえりを起こすことがあるようですね。一般にカルシウムやマグネシウムが不足すると、
こむら返りを起こしやすいとされています。

これらミネラルの補給ですが、カルシウムは、乳製品・小魚・大豆製品・海藻・緑黄色野菜などに多く含まれています。マグネシウムは、大豆製品・魚介類・海藻・ナッツ類に多く含まれています。

従って、ミネラルは、これら糖質制限食OK食品に多く含まれているので、野菜・海藻・茸も摂取するスーパー糖質制限食なら、こむら返りも起こらないのだと思います。

一方、糖質制限食に関係なく、スポーツの最中や後にこむら返りを起こすことはよくありますよね。実際、私の所属するテニスクラブのメンバーでも、よくこむら返りを起こすタイプがおられます。

幸い私は、スポーツ中やその後も起こしたことがありません。激しいスポーツをして汗をかくと、
汗とともに多量のミネラルが体の外に排出されてしまいます。ですから、カルシウム・マグネシウムなどミネラルをちゃんと補給してやらないと、筋肉が痙攣したり足が攣ったりします。

糖質制限食の場合、相対的に高脂質・タンパク食となります。また、葉野菜や海藻や茸を摂取するので食物繊維も豊富です。自ら1型糖尿人でスーパー糖質制限食実践中のバーンスタイン医師によれば、野菜に多い食物繊維は、食事中のカルシウムと結合してカルシウム吸収をさまたげ、タンパク質中のリン化合物もカルシウムとわずかに結合するそうです。

バーンスタイン医師は、「糖質制限食実践中で、チーズ・ヨーグルト・クリームを摂らない人たち、特に閉経後の女性」には、カルシウム補充を奨めています。

つまり、糖質制限食実践中のほとんどの人でサプリは必要ないと思いますが、上記のバーンスタイン医師の条件に当てはまる人やこむら返りをよく起こす人、また結構スポーツをする人は、安価なカルシウム・マグネシウム剤、或いは安価なマルチビタミン剤を補充して、こむら返りを予防するのもよいと思います。

スポーツを全くしない人でも糖質制限食実践中にこむら返りを起こすことがあります。この場合もカルシウム・マグネシウム剤、マルチビタミン剤でほとんど良くなります。

なお、漢方薬の芍薬甘草湯(68番)もこむら返りに有効です。2週間以上、芍薬甘草湯を1日3回、連続内服すると、時に血中カリウムが低下することがあるので、連用している人は注意してくださいね。

またカルニチンが不足するとこむら返りが生じることがあります。カルニチンは、生体の脂質代謝には不可欠のアミノ酸であり、2つのアミノ酸(リジン残基とメチオニン)をもとに、主に肝臓、腎臓、脳で生合成されます食材におけるカルニチンは肉類と乳製品に多いです。エルカルチンFFという内服薬があり保健収載ですが、高価です。

芍薬甘草湯が無効なこむら返りに、エルカルチンFFが劇的に効くことがあるので、該当する人は、試してみる価値があると思います・

江部康二

以上引用終わり

マグネシウムの購入先

  • にがり液 100ml:ハローズの食塩売り場、¥300弱。攣りそうな部位に数滴擦り込む。
  • マグネシウムのサプリメント:iHerb(ウェブサイト)クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム
  • ニチガ塩化マグネシウム:入浴剤、ウェブサイト
  • 死海ソルト:入浴剤、ウェブサイト

今週のお知らせ 野菜中心の生活で体調不良に

ヒトの食性については諸説あります。狩猟採集時代が長く、その時代は小動物、大型動物、魚介、虫類、葉、ツル、木の根、木の実などを食べていました。どちらかと言えば肉食です。1万年前からは、穀物や植物も多く食べられるようになり、どちらかと言えば穀物菜食と言われています。

また、歯の構造を基に臼歯が多いから穀物菜食であると言う説もあります。私は、ヒトは構造的に肉食に近いと思っているので高タンパク低糖質食を実践しています。しかし、一卵性の兄弟姉妹を除いて人は10人十色、千差万別で同じ新陳代謝の人はいません。ある小脳変性の女性は病気を克服するためにいろんな食べ物を試してたどり着いた食事が青汁で、栄養のほとんどを青汁で取っており、腸内細菌は草食動物のようだそうです。牛など草食動物はタンパク質の少ない草などを1日中食べて、腸内細菌がそれをタンパク質に合成し、それを吸収してあの巨体を作っています。

また、マツコ・デラックスのテレビでは何年間も果物だけで生きている人が出ていました。やはり腸内細菌が人と違うようになったのでしょう。動物や人にとって一番大事な栄養素はタンパク質なので、タンパク質をいかに不足なくとるかが大事だと思い、10年以上前、糖質の多い食事から高タンパク低糖質食に変更しました。料理を作るのはカミさんなので、本を読んで納得してもらい、献立の本を自分で買いに行って料理を作ってくれています。高タンパク低糖質食は私に合っていました。

以下引用始め

野菜中心の食生活が健康的だと思い込んでいた…40代で体調を崩して食生活を見直した結果は【体験談】

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健康の話

年齢を重ねると気になってくる健康についての体験談を紹介します。

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40歳で2人目を出産した後、大きく体調を崩しました。その際、体調を良くしようと参考にした本に書いてあったことに衝撃を受けました。なぜなら、それまでしてきた野菜中心の食生活が逆に良くなかったとわかったからです。その後、食生活を見直した私がどうなったかをお伝えしたいと思います。

★関連記事:「え?」私には逆効果!?健康に良いと思っていたことがまさかの体調不良の原因だった!【体験談】

野菜中心が健康だと思い込むようになった

なぜ私が野菜中心の食生活になったかという経緯をお話しします。

私は20歳で就職し、忙しさやストレスなどで体調を崩すと決まっておなかを壊していました。さらに味の濃い食事、からい物を食べるだけでもおなかを壊すので、元々胃腸が弱かったのかもしれません。当時私は販売職に就いており、おなかを壊しても頻繁にトイレに行くことができない職場環境でした。ですので、仕事に影響が出ないように、おなかを壊さないようにと食生活に気をつかうようになりました。

時々、焼き肉やお鍋などで肉をたくさん食べるとおなかを壊すので、肉もあまりとらないようになっていきました。同時に肉と同じたんぱく質である魚、乳製品もとらないように。そして、味付けのないサラダやそば、うどんなどの食事などを好んで食べ、野菜と炭水化物が中心の食生活になっていきました。そんな食生活が健康に良いと思い込んでいたのです。

しかし、20代からそんな食生活を続けて約20年。2人目を出産した40歳のとき、起き上がれないほどの体調不良に悩まされました。その体調不良をなんとか良くしようと私はある本を手に取ります。その本には、たんぱく質をとる重要性について書いてありました。そこで私は初めて、野菜中心の食生活であったために体に必要なたんぱく質がとれていなかったことを知りました。

卵と肉でたんぱく質を補う

私が参考にした本は「うつ消しごはん」(藤川徳美著)です。著者の藤川先生は医学博士であり、「薬に頼らずたんぱく質と鉄をとることが重要である」と本の中で唱えています。体調不良は必要な栄養をとれば解決できるという内容に、私はこれを実践しなければいけないと強く思いました。なぜなら、自分が今までたんぱく質をほとんど食べていなかったことに気付いたからです。

ただ、先生はたんぱく質をプロテインで摂取することを推奨しておりましたが、私は味が好きになれず続きませんでした。そこで、卵と肉類を積極的に食べる方法に切り替えました。プロテインでとらなくても、食品からとれば良いと思ったのです。

魚や乳製品は私には癖が強くて取っ掛かりにくく感じたので、私には比較的癖がなく食べやすいかなと思われた卵や肉類から取り入れることにしました。しかし、実はこれも私には少々きつく……。なかなか肉は量を食べられなかったり、卵料理に飽きてしまったりしました。そんなときは、ネットで料理のレシピを検索したり、本の中で同じような症例の方の成功例を読み返したりして、自分を励ますことで乗り越えました。

卵と肉を食べ続けた結果は…

卵と肉のたんぱく質をとる生活を3カ月ほど続けたところで、体に変化が訪れました。肉を食べてもおなかを壊さなくなり、体調が回復してきたのです。このことで自信が付いた私は、肉以外のたんぱく質である魚介類や乳製品も取り入れ始めました。さらにたんぱく質だけでなく鉄分を摂取する余裕も生まれて、鉄分を含むあさり入りのパスタを食べるなど食の楽しみが増えていきました。また、卵を味付け卵にする作り置きをしたところ、家族に好評でした。

しかし、たんぱく質をたくさん食べることにより気掛かりなことが。それはこの食生活を始めてから体重が5㎏増えたこと、食費がかかることです。40歳を超えて、体重が5㎏増えたらもう痩せないのではないかしらという心配があります。食費については、健康維持の必要経費と割り切りました。

本の中で成功した症例でも、同じように体重増加、食費がかかるとおっしゃっている方がいたので、ある意味私の方法が正しかったのではと思うようにしています。

まとめ

20代のころからの間違った食生活を20年間も続けて体調を崩しましたが、卵と肉、魚、乳製品のたんぱく質をとる重要性を知り、実施したところ体調が回復することに成功しました。体重が5㎏増えましたが、体力が付いたことが何よりもうれしいです。

食費がかさむなど気掛かりなこともありますが、家族に好評な料理のレパートリーが増えるなど良いことのほうが多かったです。これからも、私と家族のために続けていこうと思っています。

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。
※本記事の内容は、必ずしもすべての状況にあてはまるとは限りません。必要に応じて医師や専門家に相談するなど、ご自身の責任と判断によって適切なご対応をお願いいたします。

監修/黒田あいみ先生(Zetith Beauty Clinic 医師)
美容外科、美容皮膚科、予防医学(栄養療法)、アンチエイジング専門医。Zetith Beauty Clinic 、東京美容外科沖縄院にて勤務。トライアスロン日本代表の経歴を持ち、⾃分がアスリートであることも⽣かしつつ、美と健康のスペシャリストとして「中からと外からの美と健康」を信念に、外から(美容医療)だけでなく、中から(分子栄養学、予防医学)の美と健康の権威として多くの文化人、芸能人、アスリートからの信頼も厚い。著書に、「中田敦彦のYouTube大学」でも紹介された「アスリート医師が教える最強のアンチエイジング」(文藝春秋社)がある。

以上引用終わり

藤川徳美先生の本
「うつ消しごはん」
「すべての不調は自分で治せる」
「うつ・パニックは鉄不足が原因だった」

藤川徳美先生のブログ:精神科医こてつ名誉院長のブログ 症例報告がいっぱい載っています

慢性疾患患者は例外なく低体温~その1

今週は体温についてのお知らせです。

私は分子栄養学の勉強を始めて、藤川先生が推奨しているプロテインを摂ることにしました。人体実験のつもりで、2021(令和3)年11月終わりから1日40g(朝と夕に各20g)を摂ることにしました。

しばらくは変化を感じませんでしたが、12月終わりごろに、寒くなったので冬布団(毛布)を追加して寝ました。ところが暑くて眠れないので、結局冬布団を蹴りだして、秋布団だけで寝ました。例年、寒くなると冬布団を使い、時にはホットカーペットも使っていましたが、それ以来、冬になっても冬布団、ホットカーペットは全く使っていません。もう一つ変化があったのは、鼻を強くかむと時々鼻血が出ていたのですが出なくなりました。

変化その①、体温が上がったのか、冬に強くなった。
変化その⓶、血管が強くなったのか、鼻血が出なくなった。

体温が上がると人体の酵素反応が活発になり新陳代謝がスムースになり、免疫力が向上します。毎日5000個発生する癌細胞も処理します。

以下引用始め

2024-01-26 08:24:36

テーマ:

オーソモレキュラー(栄養療法)

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慢性疾患患者は例外なく低体温~その1

慢性疾患とは、

  • がん
  • 神経難病(筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、パーキンソン病、など)
  • 膠原病(SLE、リウマチ、など)、
  • その他の疾患。

長年の糖質過多+タンパク不足の食事で嫌気性解糖主導となっている。ATP不足、低体温(35℃代の人が多い)、酸性化。当院看護師によると、採血の時に手がとても冷たいそうだ、湯船に浸かる習慣がなく、シャワーのみで済ませている人がとても多い。

高タンパク/低糖質食+メガビタミンでATPを増やし、体温を上げるのが根本治療。しかし、低体温のままではプロテインとビタミンを飲んでも酵素反応が行われず、排泄されてしまう。酵素反応は37℃で最も活性化する。体温36.5℃以上を維持しておきたい。

従って、栄養療法に温熱療法を併用して行うことにより、栄養療法の効果が出やすくなる。

慢性疾患患者は例外なく低体温~その2、具体的な温熱療法

NEW!2024-01-27 10:38:46

テーマ:

糖質制限&高たんぱく質食ライフ

慢性疾患患者は例外なく低体温~その2、具体的な温熱療法

1)酵素風呂

これはかなり強烈に体を温める。通常15分だが、自分は3分で汗が吹き上がり、耐えきれなくなり退室。あまりに汗が止まらないので、真冬なのに外で30分くらい涼んだ。慢性疾患の人は15分の酵素風呂でもなかなか暖まらないそうだ。週1~2回ペースで継続できれば良い。数日間は体温を上げた状態をキープできる様子。ただし、かなり消耗する治療なので、体力のない人はなかなか続かない。お金と時間に余裕のある方はお勧め。

2)陶板浴

テラヘルツ波により体の奥深くまで暖める。しばらくの時間継続すると、腸蠕動が促されてお腹がゴロゴロ鳴る。半日~一日は体温を上げた状態をキープできる様子。通常42~46℃程度に設定している。「B+C+グルタチオン点滴」に陶板浴を併用すると、酵素反応が促され、Cとグルタチオンがしっかり効く。

自分は毎日、53℃でガンガン暖めるととても体調が良くなる。患者には、30分間、初回無料で体験してもらい、以後1回1000円で提供(要予約)。本気で治したい方は、高価だが自宅で購入し、一日2回それぞれ30分行えばとても効果的だと思う。

3)死海ソルト入浴

毎日5~10分浸かるととても暖まり、大量の汗が出る。霜焼けができなくなった、手足が冷えなくなった、朝まで体が温かいので薄着で過ごせる、等の声が多数。しかし体の深部を暖める効果は陶板浴よりは劣るため、慢性疾患の治療にはこれだけでは不十分だろう。

4)運動

運動の習慣のない人なら、毎日30分程度の早歩きでも良い。運動は体温を上げ、ケトン体も上がりやすくなる。

結論;

慢性疾患を本気で治したいなら、陶板浴を毎日2回+死海ソルト入浴を毎日を継続する。プラス、毎日30分程度の早歩き。時間がある時に酵素風呂も利用する。栄養療法の効果を格段に高めることができる。

慢性疾患患者は例外なく低体温~その3、ATPを増やす

NEW!2024-01-29 07:28:43

テーマ:

糖質制限&高たんぱく質食ライフ

慢性疾患患者は例外なく低体温~その3、ATPを増やす

低体温=ATP不足

以下は、「すべての不調は自分で治せる」から引用、

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*ATPはどのようにつくられるのか

ATPは、細胞の大部分を占める細胞質と、その中にあるミトコンドリアという小器官でつくられます。エネルギーは糖や脂質からつくられるのはご存じですよね。もう少し細かく分解されると、それぞれ「グルコース(ブドウ糖)」「脂肪酸」となります。どの材料が使われるかどうかで、そのエネルギー代謝の経路が異なります。

どのような代謝経路があるかというと、次の3つです。

「解糖系」「クエン酸回路」(別名TCA回路)「電子伝達系」

これを踏まえて、エネルギー代謝について見ていきましょう。

*【解糖系】=嫌気性解糖

では最初に、グルコース(ブドウ糖)が材料となる解糖系です。

グルコース(ブドウ糖)は、細胞の細胞質でピルビン酸、乳酸などの有機酸に分解されます。グルコース1個からピルビン酸は2個つくられます。ピルビン酸こそがエネルギー代謝に必要な物質なのですが、ピルビン酸ができるまでには10回も化学反応が必要になります。この代謝で大量のビタミン、ミネラルが消費されます。

そんなに大変な反応を繰り返した割には、グルコース1個からつくられるATPは4個で、このうち2個はこの過程で消費されるので、最終的に「ATPは2個」、つくられることになります。こんなにがんばっても、たったの2個です。

大変効率が悪いと感じますが、この解糖系は生物にとって最も原始的なエネルギー代謝なのです。この代謝は酸素が不要です。太古の昔、まだ地球上に酸素が少なかった時代の生物は、酸素がなくてもエネルギーをつくり出していました。酸素が“嫌い”でもできるこの代謝は「嫌気性解糖」と呼ばれます。

この解糖系で分解されたピルビン酸は、次の段階となるクエン酸回路と電子伝達系の代謝回路に入れてあげることが大切です。そうすると、もっとたくさんのATPがつくられます。

*ミトコンドリアにおける【クエン酸回路】+【電子伝達系】=好気性代謝

解糖系によって得られたピルビン酸は、細胞質の中にあるミトコンドリアという小器官内に入り、アセチルCoAという化合物になり、クエン酸回路に入ります。

この、ピルビン酸がアセチルCoAに変わるときに必要となる酵素はピルビン酸デヒドロゲナーゼで、その補酵素が、ビタミンB1とB2、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸(B5)、アルファリポ酸です。

さて、クエン酸回路が1回転するあいだに、ATPは2個つくられます。この際の補酵素、補因子は、ビタミンB群と鉄とマグネシウムになります。

そして代謝の最終段階となる電子伝達系では、解糖系やクエン酸回路で生じた「NADH」や「FADH2」の力を利用して、さらにATPをつくります。NADHはナイアシンから、FADH2はビタミンB2から誘導されます。この電子伝達系は酸素が使われますので、酸素が“好き”な好気性代謝と呼ばれます。この電子伝達系には鉄が必須です。

この代謝によって、グルコース1分子から「ATPは38個」もつくられることから、効率がとてもいいということになります。

*脂肪酸が材料となる代謝は効率がいい

脂質が分解されてできるのが脂肪酸で、β酸化と呼ばれています。その脂肪酸が材料となるエネルギー代謝の場合には、脂肪酸からアセチルCoAがつくられ、直接ミトコンドリアのクエン酸回路と電子伝達系の好気性代謝に入ります。

この場合、脂肪酸の炭素数が16あるもの(=パルミチン酸:ラードなどに多く含まれる)の場合は、クエン酸回路+電子伝達系で、「ATPは129個」もできます。

グルコースが原料の場合は「ATPは38個」が最大量でしたから、脂肪酸はグルコースに比べて非常に高エネルギーであることがわかるでしょう。

これを踏まえて、ATPをたくさん増やせる理想のエネルギー代謝へご自分の体を変えていくことが大切です。そのためのステップは、2つあります。

*ステップ1 糖質を好気性解糖で完全燃焼させる

最も重要なことは、糖質の嫌気性解糖主導の代謝から好気性代謝に変えることです。つまり、摂取した糖質を好気性代謝で完全燃焼させることが最重要です。

糖質をたくさん摂ってしまった場合は、糖質代謝にビタミン、ミネラルが浪費されて好気性代謝の方に入れなくなります。

嫌気性解糖で得られるATPは2個ですが、乳酸を再度グルコースに変換するコリ回路という代謝でATPが6個消費され、結果的にマイナスATPとなります。糖質を好気性解糖で完全燃焼させるためには、糖質摂取の絶対量を減らすこと、そしてピルビン酸デヒドロゲナーゼの補酵素を補給することです。

この補酵素が、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB5(パントテン酸)、αリポ酸などになります。つまり、ビタミンB群の補給が欠かせません。

また、好気性代謝が行われるミトコンドリアはタンパク質そのものですから、タンパク質が不足しているとミトコンドリア機能が低下して、好気性代謝の機能が低下します。先に述べましたが、電子伝達系には鉄が必須なので、鉄不足があると好気性代謝機能が低下します。

*ステップ2 脂肪酸代謝(ケトン体代謝)に変えていく

糖質を完全燃焼できるようになった後に、脂肪酸を燃焼させるケトン体代謝に徐々に変えていくことを目指しましょう。糖質摂取を減らして、脂肪酸摂取を増やしていくのです。

そのためには、食事に肉、卵、チーズ、バター、ラード、生クリーム、MCTオイルなどを増やしていきます。とはいえ、タンパク質と鉄が不足している女性の場合は、いきなり脂肪酸燃焼代謝に変えることは困難です。

脂肪酸燃焼代謝に変えるためには、BUN15、フェリチン50程度は必要となります。理想値はBUN20以上、フェリチン100以上です。

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鉄不足がなくタンパク不足が軽度な男性なら、いきなり断糖しても数日で脂肪酸代謝に移行できる。しかし、鉄タンパク不足の女性では、脂肪酸代謝が上手く使えないため、断糖するとATP不足になり動けなくなる。従って、鉄タンパク不足の女性は、糖質摂取量を今までの半量程度に減らすが、それ以上は減らしてはいけない。

時間をかけて、鉄タンパク不足を解消してゆく。

以上引用終わり

 

今週のお知らせ 激しいスポーツは貧血に気を付けよう

激しいスポーツをすると大量の汗とともに鉄分が失われます。また着地の時の衝撃で足底の血管が圧迫され赤血球が壊されます。鉄分を考えた食事や場合によりサプリメントが必要になります。今週は藤川徳美先生の精神科医こてつ名誉院長のブログから転載します。

以下引用始め

駅伝強豪校の練習で赤血球が壊される

2024-01-20 10:53:10

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駅伝強豪校の練習で赤血球が壊される

症例は現在、高校一年生、男性。中学二年生の時、起立性調節障害(OD)を発症して当院に通院。初診時、BUN16.7、フェリチン36。1年あまりの治療ですっかり元気になった。元々長距離走が大好きで、R5.4県内の駅伝強豪校に入学した。

R5.4の状況;BUN19.3、フェリチン205とデータは完璧。処方薬は、フェルム、プロマック、ESポリタミン、途中からロゼレム。プロテイン*2、B50、C1000、E400、Mg100、ナイアシンアミド、ベンフォチアミン、Mgスプレーなどを継続。寮に入っている。量では週3回レバーが出る様子。毎日の練習はとてもハードで、夏頃には練習について行けなくなった。

R5.7、BUN18.2、フェリチン106。フェルム(Fe100mg)+Nowアイアン36*1(合計136mg)を、フェルム+Nowアイアン36*3に増量(合計208mg)。プロテイン20g*3に増量。グルタミンパウダー5g*2を追加。その後、体調は回復し、練習もこなせるようになった。

R5.12、体調はとても良く、元気にしている。BUN30.6、フェリチン81。→Nowアイアン6*5に増量を(合計280mg)。聞けば、貧血で体調不良の部員がとても多い様子。

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・9ヶ月前のフェリチン205が、鉄剤を継続しているにも関わらず、81に減っている。長距離走にて足の裏で赤血球が壊されている。

・駅伝部員全員、処方薬フェルム無しなら、プロテイン20g*2+Fe36*5~8飲むべきだろう(Fe合計180~288mg)。週3回のレバーでは全く追いついていない。

元記事はこちら

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02eu9JLTV3AVCFvzEBNnNTa3YALD8bz1wALb9dQxewTfu3cAh66iBEqGdt2tp5mgQtl&id=100003189999578

以上引用終わり

激しい運動に伴う発汗や消化管での出血により、体内から鉄が失われます。 足裏に強い衝撃がかかり続けるマラソン、サッカー、剣道など、着地などの動きで足底に繰り返し衝撃が加わり、足裏の血管が圧迫されて血管内で溶血(赤血球の破壊)が起こります。 トレーニングによって筋肉量が増加し、必要とされる鉄が増えた結果、体内の鉄が不足します。

溶血性貧血は貧血の一種で、血管の中を流れる赤血球が破壊される(溶血)ことにより起こります。 これによって貧血に伴う息切れやふらつきの他、眼球が黄色くなったり(黄疸)、胆石、褐色尿などの症状が出現します。